明け方、何だか強い圧迫感で目が覚める。猫が枕元でじーっとこっちを見ている。このまま寝たふりを続けたら、顔をかまれるか引っかかれる。はいはい、わかりましたよ…のそのそと猫に朝食を準備する。どっちがあるじか分からない毎日である◆さだまさしさんがCMで、往年のヒット曲をもじった「にゃんぱく宣言」を歌っている。♪お前、俺の飼い主ならば 俺の体、俺より管理しろ…。多頭飼いで猫が増えすぎて近隣トラブルになるご時世である。亭主のような口調で猫から適正飼育の小言を賜るのは、当世風のいびつな主従関係を言い当てている気もする◆「お前」という物言いも、近ごろは使い方が難しい。プロ野球で中日の応援団が〈お前が打たなきゃ誰が打つ〉というフレーズの応援歌を今季自粛した。「お前」は「選手に対して失礼」と球団側からクレームがあったとか。一緒に勝利を目指す「同士」のつもりで声をからしてきたファンには困惑もあるだろう◆日常生活では親愛を込めた「お前」が威圧に映ることもある。職場や家庭でハラスメントの火種になっていないか、相手への敬意を常に忘れずにいたい◆〈世の中にお前と呼ぶはお前だけ〉(椙元紋太)。「お前が言うか」と愛猫にたしなめられそうである。亡くなったジャニー喜多川さんの「ユー」をまねてみるか。(桑)

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