玄海原発3、4号機の運転差し止めが認められず、「不当判決」などの垂れ幕を掲げる住民ら=福岡市

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)を巡り、運転差し止めを認めなかった佐賀地裁の仮処分決定を不服として佐賀県内外の住民ら約170人が申し立てた即時抗告審で、福岡高裁は10日、「具体的な危険が存在するとは認められない」として申し立てを棄却する決定をした。

 地裁で争った耐震設計の目安になる地震の揺れ「基準地震動」や施設の配管の安全性に加え、住民側が即時抗告審で追加主張した阿蘇カルデラの危険性も争点となっていた。

 山之内紀行裁判長は決定理由で、巨大噴火が原発運用期間中に起こる可能性は「全くないとは言い切れない」としつつ、「相応の根拠をもって示されない限り、原発施設が客観的に安全性に欠けるとは言えない」と住民側の主張を退けた。

 また、基準地震動については「合理性が認められる新規制基準に従って策定されている」、配管の安全性は「健全性確保と重大事故対策に適切に取り組んでいる」などとし、いずれも問題視しなかった。

 申し立てたのは、原発の運転差し止めを求める訴訟を起こしている「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(石丸初美代表)に加わる住民ら。佐賀地裁が2017年6月に却下する決定をし、即時抗告していた。

 申し立て棄却の高裁決定を受け、住民側は最高裁への特別抗告はしない考えを示した。

 玄海3、4号機は18年3~6月に再稼働し、3号機は今年5月から定期検査で運転停止している。

■「国の政策、司法追随」原告住民

 「国の原発政策を司法が追随した」。玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の運転差し止めを認めなかった福岡高裁の決定に対し、仮処分を申し立てた住民らは反発の声を上げた。

 住民が加わる「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表は会見で、「福島の原発事故を受け止めて二度と繰り返さないようにしないといけないのに、理不尽、不合理、不条理な決定で、裁判官に人の心はあるのか」と批判した。

 弁護団の冠木克彦弁護士も「他の判決などを踏襲しただけで、本当に安全かどうか審議した形跡はない」と強調。武村二三夫弁護士は、決定の中で阿蘇山などの巨大噴火のリスクが一定程度容認される理由として言及した社会通念について、「証拠で認定することはできず、極めて恣意(しい)的な判断だ」と指摘した。

 一方で、九州電力は「原発の安全性は確保されているとの主張が認められ、妥当な決定」と評価。玄海原発が立地する玄海町の脇山伸太郎町長は「原子力規制委員会の審査と判断は正しく、信頼できるものだと安心している」、佐賀県の山口祥義知事は「九州電力は、引き続き安全性・信頼性の向上に向けた不断の取り組みをしっかり行っていただきたい」とのコメントを出した。

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