参院選公示前に佐賀新聞社が県内高校で行った主権者教育の出前授業第3弾は小城高(小城市)が舞台。6月19日に1、3年生を対象に実施した。生徒たちは一票の重要性を講話で学んだほか、小城のまちづくりを考える模擬選挙で、自分の考えに合う投票先を見つける方法を体験的に学習。投票先を選ぶ上でのヒントが身近にあることも学んだ。

 

【講師から】将来のため若者こそ投票へ

過去の投票率などを振り返りながら、選挙の仕組みを学んだ小城高の生徒たち=小城市

 全体を進行した多久島文樹・NIE推進担当デスクは「主権者」について「自分たちの地域や国をこうしたいと希望を持ち、実現する人を選べる人」と説明。「選挙権は一定の年齢に達しないと行使できないが、みんなも生まれながらに主権者」と呼び掛け、生徒たちに自覚を促した。
 授業ではクイズも使い選挙への理解を深めた。投開票日の翌日に18歳になる人にも選挙権があることを知ると、生徒たちからは驚きの声が。4月の県議選で選挙戦となった6選挙区のうち、小城選挙区の投票率が40.68%で最低だったことについても驚いた様子だった。
 多久島デスクは「最近、一票の重みを考えさせられる事例が増えている」として、同様に投票率が低かった鳥栖選挙区はわずか7票差で当落が分かれたことなどを説明。「『自分たちの一票では何も変わらない』ではなく、夢や希望がかなう可能性が高まっている」と投票を呼び掛けた。
 締めくくりに、財政破たんした北海道夕張市の市議による「将来、不利益を被らないよう、若者こそ投票に行って」という呼び掛けを新聞記事から引用。投票先を考える上でのヒントとして「身近な問題に関心を持ち、新聞やテレビなどからいろいろな情報を得てほしい。日常生活の中にも選択の“もと”になる事柄が見つかるはず」と助言した。

 

【模擬選挙】提案深掘りし支持選択

 

 生徒たちは、3人の教諭が小城のまちづくりについてそれぞれ提案する動画を視聴し、「投票先」を選んだ。提案内容は(1)地域の歴史や商店街を観光に生かす遊歩道整備(2)JR小城駅を交流スペースとする駅舎の整備・活用(3)充実した防災関連施設を旧4町それぞれに整備する―の三つ。支持する理由も発表し合い、中には提案内容をさらに深掘りする論点も見られた。
 (1)の提案は、歴史観光スポットや商店街を巡る遊歩道のほか、自然を満喫できるハイキングコースを整備するもの。支持した生徒からは「小城の魅力を最も生かせる提案」「豊かな自然やきれいな街並みをアピールするのは良い考え」といった声に加え「外に出ない最近の若者に向け、アウトドアを推進する企画になる」という踏み込んだ意見もあった。
 (2)は、歴史ある駅舎に住民が使える交流スペースを設け、昨年設置されたピアノを生かしたコンサートも開き地域活性化につなげる提案。生徒は「電車の待ち時間にコンサートがあればちょうどいい」「今は物足りないふれあいの場所ができる」と賛同。「駅が活性化すれば利用客も増え、小城に来る人が増えれば税収増にもつながるのでは」といった視点もあった。
 (3)に関しては、授業前日に山形・新潟で最大震度6強の地震が発生したことも影響したらしく、特に3年生から支持が集中した。内容は、防災関連機関との連絡や救命救急、避難シェルターなどの機能を備えた施設を整備するもの。支持する生徒からは「もしもの時のために設備を整えておきたい」「南海トラフ地震やミサイル攻撃などにも役立つ」との意見が。一方で「賛成だが、避難所は障害者への対応やプライバシーなどへの対策も必要」といった注文も聞かれた。

 

 

【アンケート】関心、学年上がるごと高く

 出前授業に先立ち、佐賀新聞社が小城高生を対象に実施したアンケートの結果も授業で示した。参院選への関心は学年に比例して高まっており、選挙権年齢が近づくほど主権者の自覚が生まれていることがうかがえた。
 参院選への関心について、全体では「あまりない」(45%)と「全くない」(31・2%)が目立った。一方「大いにある」と「少しある」の合計割合を学年で比べると、1年生が20・7%、2年生が23・2%、3年生が31・3%と、学年が上がるごとに関心は高まっていることが読み取れた。

 
 

 関心のある国政政策を二つ尋ねたところ、「教育」(48・8%)「子育て・少子化対策」(41・3%)「医療・福祉」(31・4%)の順で票が集中した。佐賀県が抱える国政課題を複数回答可で尋ねると、有明海に面する土地柄か「オスプレイ配備計画」が67・8%と突出。「玄海原発」(32・3%)「新幹線長崎ルート」(29・5%)と続いた。

 
 

 

【感想】(年齢は取材当時)

●1年

■板谷夏葉さん(15)
 中学生の時から選挙権を持ちたいと思っていた。若者の一人として投票し、世の中を少しずつ変えられるようになりたい。自分の意見を反映できると考えるとわくわくする。

■家永咲葵さん(15)
 私のたった一票で日本が変わることを知り、重要さを学んだ。これからは私たちがしっかりと考え投票することが、日本をどうするのかに大きく関わることが分かった。

■永石瑞季さん(15
 これまでは「自分の意見なんか反映されない」と思って選挙に対してよく知ろうとも思っていなかったけど、自分の一票が大切になってくると感じることができた。

■梅野姫麗さん(15)
 若者の投票率が低下しており、自分たちの一票で大きく左右される重みを知った。今後投票に行く時の参考にしようと思った。

■中島葵さん(15)
 若い人が積極的に選挙に行き、自分の意見を社会に伝えることが大切だと思った。クイズに答えていくうちに、知らなかったことが多くあると感じ、自分でも選挙や政治などに興味を持たなくてはと思った。

■久冨孝輔さん(16)
 模擬選挙で(3)を選んだのはきのう(6月18日)の(山形・新潟の)地震に影響された部分もあるが、避難所の充実はしておかないといけないと思う。小城市の投票率の低さには驚いた。

 

●3年

■高取優花さん(17)
 少子高齢化が進むいま、若者が積極的に政治と関わることで、これからの日本をより良いものにしていけるのではないかと改めて考えるきっかけとなった。

■高塚晶さん(17)
 投票は大人がするものというイメージだったが、自分もその歳になっていることを改めて自覚し、これからは自分も主権者の一人として社会のことに関心を持とうと思った。

■秋永峻佑さん(18)
 4月生まれだったので、県議選は選挙に行った。当時は多くの人が選挙に来ていた印象だったが、小城市の投票率を見て低いことに驚いた。

■高橋乃愛さん(17)
 7月22日以降生まれなので今回選挙に行けず残念。高齢者の意見ばかりではなく若い人の意見も取り入れてもらえるよう、積極的に選挙に参加したい。

■河野ようこ(17)
 思っていたよりも小城市の投票率が低いので、18歳になったら自分の意思をしっかり持って選挙に行きたいと改めて思った。模擬選挙をして、自分が小城をどうしてほしいかちゃんと考えることができ、本当の選挙にも興味が沸いた。

■古賀水希さん(17)
 参院選投開票日の翌日に18歳になる自分にも選挙権があることは、家族から聞いて知っていた。投票先はぱっと見て決めようと思っていたが、授業を受けて、それぞれの政策の良い点、悪い点を見て考えようと思い直した。

■糸山彩乃さん(17)
 若者の意見をしっかり主張しないと、将来大変なことになりかねないと気づかされた。

 
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