〈テレビなどでこの歌を聞くたびに、私もまた今でも胸がときめく〉―。夏の甲子園の大会歌「栄冠は君に輝く」。その曲を書いた作曲家古関裕而こせきゆうじ氏(1909―1989年)の生前の言葉である。今年は古関氏の生誕110年、没後30年にあたる◆古関氏の自伝『鐘よ鳴り響け』によると、戦後間もない1948年、学制改革で全国中等学校野球大会が全国高等学校野球選手権大会に改められたのを機に大会歌の作曲を依頼された。このため、まだ戦災の爪痕が残る大阪を訪れ、甲子園に向かう◆そして、無人のグラウンドのマウンドに立ち、周囲を見回しながら、ここで繰り広げられる熱戦を想像しているうちに、脳裏にメロディーが湧いたという。古関氏は〈やはり球場に立ってよかった〉と当時をしみじみ振り返っている◆高校野球佐賀大会の熱戦が続いている。県立高の再編統合と野球部員の減少で、連合チームでの出場やなじみの校名ではこれが最後というチームもある。それだけに学校の歴史を思い、地域の期待にこたえようという気持ちが伝わってくる◆〈雲はわき 光あふれて〉。高らかに歌い上げる大会歌。曲を耳にするとなぜか胸が高鳴る。歌にあるように一球、一打にかける青春賛歌がうらやましいからだろうか。よしっ、今年も球場に行って熱い日差しを感じてこよう。(丸)

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