参院選を前に佐賀新聞社が行った主権者教育の出前授業の第2弾は6月11日、唐津市の唐津西高で実施。全校生徒約520人は「いまの唐津に必要なまちづくり政策」をテーマとした模擬選挙で投票先の選び方を実体験した。わずか数票が当落を分けた最近の選挙事例から「一票」の持つ力の重さも実感し、投票で自分の意思を示す大切さを再認識した。

 

【講師から】投票率半分以下に「やばい」

 

 多久島文樹・NIE推進担当デスクが全体を進行した。多久島デスクは「主権」について「いろんな権利の中心で、みんな生まれた時から持っている権利だと思う。ただ選挙権は18歳にならないと使えないというだけ」と持論を展開。まだ選挙権を持たない生徒に向けても「投票に行けなくても、自分たちの国や地域をこうしてほしいと考えるのはとても大切」と呼び掛けた。
 低下する投票率を引き合いに「一票の重さ」についても解説。4月の県議選唐津選挙区の投票率に言及し「10万人も有権者がいるのに半分も行っていない」と説明すると、生徒たちからは「えー」「やばい」といった声が。多久島デスクはさらに2月の鳥栖市長選がわずか10票差で決したことを例に「1票が積み重なれば選挙結果は変わる。一人一人が自分の1票を大事にして」と訴えた。
 また模擬選挙でも提案の一つに挙がっていた唐津市民会館については、現地で建て替わることに決まったことを明かした上で「移転を支持した人たちの願いはかなわなかったが、どのようになるか関心を持って」と語り掛けた。

 

【模擬選挙】多種多様な「支持理由」

 

 唐津のまちづくりをテーマとする模擬選挙は、唐津西高の教諭3人が候補者に扮(ふん)し、それぞれが考える「まちづくりプラン」を動画で発表した。生徒たちはなじみの教諭がポスターや「政見放送」に出る様子を面白がりながらも耳を傾け、最善と思う候補者を選択。支持する候補者が同じ者同士で意見を交わし、多種多様な「支持理由」が聞かれた。
 (1)を支持した生徒からは「アミューズメント施設は市民も市外の人も楽しめる」「唐津くんちが大好きだから大きな曳山展示場が欲しい」といった意見が上がった。
 (2)の生徒は「地元の人にも観光客にも良い提案」「昔に比べ人が少なくなったアルピノに、にぎやかさが戻ると思う」と評価した。
 (3)に賛同する生徒は「高齢者が多く、ドクターヘリなどがあれば助かる可能性が高まる」「市民のことを大事に考えている」「観光客がいる中で災害が起こったら、市民だけでなく観光客も危険になるから、まずは安全面の充実」と意見を述べた。
 このほかにも「他の案への関心が低かったから」「候補者の実行力や人柄が魅力」などのほか、「防災対策は大事だから(3)を支持するが、施設を1カ所に集めてしまうと遠い人が行きづらくなることは考えないといけない」など、賛成案に対する問題提起もあった。

 

【アンケート】身近な問題に注目

 

 出前授業に先立って佐賀新聞社が唐津西高生に実施したアンケートでは、参院選への関心の低さが浮き彫りになった一方、玄海原発や教育政策など身近な問題については注目している様子が垣間見えた。
 参院選への関心は「まったくない」が44・2%と最も多く、次ぐ「あまりない」も37・2%と、否定的な生徒は8割を超えた。
 佐賀県が抱える国政課題から関心のあるものを複数尋ねたところ、「玄海原発」が60・1%と、約6割の生徒が関心を示した。次いで「オスプレイ」(40%)「新幹線長崎ルート」(23・1%)となった。
 関心のある国政政策を二つ尋ねたところ、「教育」(40・9%)「子育て・少子化対策」(38・6%)がツートップとなった。「医療・福祉」(25・6%)も4人に1人が挙げるなど比較的高く、「景気・雇用対策」(18・3%)と続き玄海原発も関わる「エネルギー・環境」は17・5%だった。
 進行を務めた中島佑子記者はアンケート結果について「みんな身近な問題は自分事として関心を持っている。友達や家族と話し合い、意思表示のため投票に行って」と講評した。

 
 

 

【感想】(年齢は取材当時)

● 1年

■犬塚啓道さん(15)
 (1)を支持していたけど、「観光客が多くても防災をきちんとしていないと意味がない」という意見を聞いてとても共感した。

■鶴丸晴海さん(15)
 18歳以上に選挙権が与えられている国が9割以上もあり、とても驚いた。選挙は遠い存在だったが、いろんな意見がある中で合う人を選ぶのが楽しかった。

■松本壮磨さん(15)
 「一票の重み」についての話が印象的だった。10票差で落ちた候補者はつらいだろうと思う。自分の1票で候補者が当選して、市のまちづくりに自分の思いが反映され、より良いまちになっていくのだと改めて実感できた。

■高瀬美咲さん(16)
 出前授業を通して、選挙が自分の意見を言える場だと実感できた。投票できるようになったら、選んだ理由も考えて佐賀県の役に立ちたい。

● 2年

■木村紀喜さん(16)
 少し前までは、自分が政治に参加することなど全く想像できなかったが、もう来年まで迫っていると改めて思った。唐津市の投票率の低さや一票の重さを知ったので、必ず選挙に行く。

■脇山はるかさん(16)
 選挙に行く前に、自分の住む唐津や佐賀でいま何が起こっているのか知っておく必要がある。身の回りで起きていることに耳を傾け、投票に自信を持てるようになりたい。

 

■新家眞尋さん(16)
 今回の模擬投票で選挙への関心が深まった。一票、一票に重みがあるからこそ選挙権が得られたら選挙に行こうと改めて実感した。

■久恒洸心さん(16)
 塾の先生が政治の話をしてくれて選挙には関心がある。オスプレイや原発はもちろん、国政全般に関心はあるが、そういう友達は周りには少ないし、話をすることもない。

● 3年

■井手綾花さん(17)
 事前アンケートの結果を見て、思ったよりもみんな、玄海原発やオスプレイなど身近なニュースに関心を持っていると思った。

■佐々木萌恵さん(17)
 実際に(投票先を)比べる時、自分は何を重視するのか考えられて良かった。今の社会には何が必要か、そうすると誰が適任かを、自分の目で見て決める必要がある。

■林田晶さん(17)
 候補者が自分と同じ意見を持っているとは限らないが、結局投票しないのではなく、自分の意見と共通部分を見つけていくことで投票しやすくなると思った。

■青木優奈さん(17)
 3人の候補者の考えを比較して、誰を一番支持したいかを考えることができて良かった。投票に行く時は、きょうのようにしっかり比較して考えてから投票するようにしたい。もっと投票率が上がってほしい。

■飯野円香さん(17)
 人それぞれ意見があり、それを聞いて自分の意見を見直すことはとても大切だと思った。

■渡邊美空さん(18)
 「若者は選挙に行け」とよく聞くけど、結局ほとんどの人が行かないから若者の意見は通らないのだと思う。あと、議員に若い人がいないと若者が共感することがないのでは。

■有村美乃里さん(17)
 選挙への関心は上がった。将来は看護師を目指しているが、政治も立場の弱い人への思いやりを大切にするものであってほしい。
 

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