販売員として架空の商品を説明する高橋苑子さん

取り壊される芸術地域デザイン学部3号館でイベントを開いている佐賀大の学生=佐賀市本庄町の同大

 半世紀の歴史を刻んだ学びの場の“終章”をみずみずしい感性が彩る。老朽化に伴い、取り壊される佐賀大学芸術地域デザイン学部の校舎で、学生によるアートイベントが開かれている。30人以上の有志が週替わりで部屋や階段、廊下、外壁などを使い、個性豊かな表現を展開している。

 校舎は1968年に建設され、2階建て、延べ床面積約300平方メートル。以前は教育学部の体育棟で、現在は芸術地域デザイン学部の3号館として利用してきた。9月から取り壊されるのを前に、ミクストメディアを学ぶ学生を中心に「3号館プロジェクト」と銘打つイベントを8月末まで開くことにした。

 6月下旬は彫塑を学ぶ高橋苑子(そのこ)さん(3年)ら4人が作品を発表。高橋さんは「芸術が分かるようになる薬」の販売員になり、架空の広告画像などを来場者に示しながら“効能”を説明した。

 「『そんな薬あるはずない』と分かるのに、なぜか心引かれてしまう人がいる」。商品に見立てたブドウ糖のサプリメントを配ったり、アンケートを取ったりして、お手軽な商品に飛びつく消費者心理を風刺した。

 ミクストメディアを専攻する中山幸乃さん(3年)は「壊れゆく3号館」をイメージし、不用品を集めて作品化。椅子やテーブル、ビニール傘などが支え合い、一つでも欠けると全体が壊れてしまう“頼り合い”の危うさを表現した。

 校舎には50年余の歴史を物語る落書きの跡、壁のひびや汚れが残り、学生たちの斬新な発想に味わいを与えている。実行委員会の中山さんは「一人一人がこれほど大きくスペースを使える機会は少なく、今後の創作のヒントになる」と話す。

 ▼展示は26日までと、8月12~30日の正午から午後6時まで。土、日曜休館。

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