収穫したドクダミを葉と茎にちぎって分ける松本スミ子さん(右)ら=玄海町の町薬用植物栽培研究所

 玄海町が新産業の柱として取り組んできた薬用植物の栽培研究事業で、ドクダミ栽培農家が町内で増えている。認知度の高さや、他の植物に比べ手間がかからない点が増加の理由。一方“本命”である甘草の栽培は11年目にして道半ばだ。町は民間企業と連携して薬草栽培の実用化を急ぐ。

 町が薬草の研究拠点として整備した薬用植物栽培研究所。その倉庫で町内の松本スミ子さん(82)が、研究所職員らと一緒に収穫したドクダミの葉と茎をちぎり分けていた。2年前、スイカなどを作っていた畑で栽培を始めたばかり。「今年は昨年よりよくとれた」とほほ笑んだ。

 研究所がドクダミの試験栽培に着手したのは2017年。2年で栽培農家は6戸に増えた。年内にはさらに3戸増える。

 「他の農作物と比べて特別な投資が必要ない。その割に単価が高い」。そう話すのは、研究所の古舘保弘園長(67)。植え替えが不要で年2回収穫できることや、雑草に強いといった特徴も増加の理由だと説明する。耕作放棄地を抱えた町民の中には「あまり手間をかけずにお金になるなら」と栽培に興味を示す人もおり、町は「農家はさらに増えるだろう」と期待を込める。

 町内でとれたドクダミは、県内外の穀物問屋が1キロ800~1300円で買い取る。町は今後、ドクダミの生産者組合を立ち上げ、安定して大量生産できる体制づくりを目指す。健康食品会社などから植物を定期的に買ってもらう契約栽培を始める青写真を描く。

 町は、こうした薬草事業を08年から始めた。中でも期待がかかったのが、多くの漢方薬に使われ、自給率の低い甘草の研究だ。しかし、10年以上が経過した現在も、思うような成果は出ていない。高品質な苗を作っても農地に定着せず枯れてしまうなど課題は多い。短期間で増えているドクダミ農家に対し、甘草栽培農家は1戸にとどまる。

 薬草を使った町づくりは、ドクダミを中心に据えていくのか。古舘園長は「甘草を諦めたわけではない」と強調する。町は5月、作物の栄養剤「HB-101」の製造販売で知られるフローラ(三重県)と、連携協定を締結。薬用植物の栽培に同商品を使い、甘草を含めた薬草の安定生育に取り組む。

 事業は前町長の岸本英雄氏が始め、脇山伸太郎町長が受け継いでいる。脇山町長は「薬草で地域の活性を図る姿勢は変わらない。まずはドクダミでもうかる仕組みをつくっていきながら、甘草も形になるよう努力を続ける」と話した。

 ■ドクダミ 多年草。雑草として日本各地に分布する。乾燥させたものは「十薬」と呼ばれ、利尿作用や便秘薬、解毒などの効果がある。漢方薬やサプリメントの材料になる。

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