木造薬師如来坐像

 玄海町有浦下にある曹洞宗瑞泉山東光寺には、国指定重要文化財「木造薬師如来坐像」が鎮座する。唐津市鎮西町から現在地に移って400年以上が経過する中、地域の信仰の対象として、変わらず穏やかな表情を浮かべている。

 像の高さは89・1センチで、ヒノキによる寄せ木造り。平安時代末(12世紀)、京都など中央で活動した仏師が手掛けたと思われるが、詳しい作者は分かっていない。身にまとうけさのひだは、曲線を重ねるようにして彫られており美しい。漆塗りで、表面には金箔きんぱくが貼られている。

 1915年、多くの文化財の仏像を修復した新納忠之介にいろちゅうのすけ(1869~1954年)が、像の背後にある輪光背や台座などを修復し、現在の姿になっている。

 なぜ、地方にこのような立派な仏像があるのか。15代目住職の仲秋直樹さん(53)は「一つの説」と断った上で「中国との貿易で松浦半島の豪族の協力を得るため、平清盛らが贈ったのではないか」と話した。

 「これだけの時間、誰かが像を守ってきたということに命のつながりを感じる。これからも町の信仰の対象として大切にしていきたい」。仲秋さんも穏やかにほほ笑んだ。

 見学の問い合わせは同寺、電話0955(52)2526。

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