6月の月間MVPに選ばれ、インタビューを受けるサガン鳥栖のフェルナンド・トーレス=福岡市のヤフオクドーム

鳥栖-清水 前半16分、今季初得点を決めて走り出す鳥栖FWトーレス=鳥栖市の駅前不動産スタジアム(撮影・山田宏一郎)

 サッカー・J1サガン鳥栖はリーグ戦前半戦の17試合を終えて5勝1分け11敗(勝ち点16)で16位。良い試合運びをしながらも白星が遠のき、一時は3連敗を喫した。ただ、6月最後の試合となった清水戦(30日)では、今季最多の4ゴールを挙げて快勝。いい流れを取り戻しつつある。佐賀新聞の読者投票で選ぶ6月月間MVPは、清水戦で今季初得点を含む2ゴールを挙げ、勝利に貢献したFWトーレスに決定。引退表明後、初先発となった一戦でヘディングシュートを2発決めてホームのサポーターを喜ばせた。トーレスの引退試合は8月23日のヴィッセル神戸戦。現役生活が残りわずかとなった世界的スーパースターにインタビューした。

 -清水戦で今季初得点を含む2ゴール。引退会見では昨季の横浜M戦のゴールが最も印象に残ると語ったが、それに匹敵するものになったのでは。

 横浜M戦のゴールはまた一つスペシャル(特別)なものだった。(チームが)1年間苦労した中、あのゴールを決めたことによって、何とか残留することができた。佐賀県民の皆さんを喜ばせることができたので、清水戦のゴールよりさらにスペシャルなゴールだ。

 -清水戦後に「練習を続けてきた結果」と言った。苦しい中、どのような思いで練習していたか。

 スタートから出られない、自分にとって慣れない状態が約2カ月間続いた。ただ、そこで物事を諦めて手を上げてしまったら、何もいいことはない。試合に向けて常に準備しておくというだけだった。

 -ヴィッセル神戸でプレーする盟友・イニエスタ選手とビジャ選手も同じ日に2ゴール。運命的なものを感じた。

 日本でプレーするスペイン人選手たちにとってはいい一日になったね。ああいう日がまた来てほしいと思う。実は、試合後にアンドレス(イニエスタ)から「おめでとう」と連絡が来たんだけど、自分はその時まで神戸の試合結果を知らなかったんだ。結果を確認してから改めて、「あれ、君も決めていたんだね。おめでとう」と伝えたよ。

 -トーレス選手ほどのプレーヤーなら、母国や欧州に戻って引退する道もあったはず。鳥栖での引退を選択した理由は。

 鳥栖に来る前から、「次のチームが最後になる」と感じていた。ヨーロッパを出ると決めた時に、すでにそういう思いがあったんだ。ゴールを決めるなど良いプレーをし、鳥栖のサポーターにしっかり自分のことを覚えてもらってから、現役を引きたい。

 -引退会見では鳥栖というクラブへの愛情を感じた。1年間と短い在籍期間でここまで鳥栖を愛した理由は。

 1年はすごく長い時間だよ。昨シーズンの残留を決めた時、クラブに関わる全ての人たちが団結していた。このクラブはビッグなポテンシャル(潜在的な力)を持っていて、まだまだ成長できると感じたんだ。サポーターのために自分も何かをやっていきたい。今後は選手ではなくなるが、外からクラブの手助けができればいいと思う。今も社長と将来のビジョンを話しているよ。子どもたちにとってスポーツは、夢や目標をかなえる乗り物だと思っている。それに一緒に乗っていきたい。

■フェルナンド・トーレス

 1984年3月20日生まれ。スペイン出身。186センチ、78キロ。アトレチコ・マドリードの下部組織で育ち2001年にプロデビュー。リバプール、チェルシー(ともにイングランド)、ACミラン(イタリア)でもプレーした。スペイン代表として110試合に出場し38ゴールを記録、10年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で優勝に貢献した。アトレチコ・マドリードを退団後、昨年7月に鳥栖に電撃加入。同11月24日の横浜M戦で決勝ゴールを決めるなど、J1残留の力となった。8月23日の神戸戦での現役引退を表明している。

【MVP選出理由】

○3連敗中、しかも引退表明後に迎えた清水戦で、魂のこもった2ゴールはさすがでした。ここからの夏場を連勝街道で突き進んで有終の美を飾ってほしいです。

○救世主とはトーレスのこと。梅雨を吹っ飛ばす気持ちいいシュートでした。

○清水戦の魂の2ゴール。世界的なストライカーが鳥栖のために謙虚な姿勢で体を張ってゴールを目指す姿に感動しました。

○清水戦の大雨の中での2ゴールは最高でした。引退しないでください。もっとフェルナンドのゴールが見たいです。

○2得点したスタジアムの雰囲気に鳥肌が立ちっぱなしでした。子どもたちも小さいながらに、勝利を願って必死に応援しています。引退は寂しいですが、残りの試合でも有終の美を飾ってほしいと思います。

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