当院は前立腺癌の3次検診である前立腺生検を行うことができる施設です。これは前立腺を針で刺して組織を採取する検査です。検査の合併症にはさまざまなものがありますが、そのひとつである急性前立腺炎については1%程度の確率で起こるとされています。さて、この1%という数値、皆さんは高いと思いますか? 低いと思いますか?

 あるいは、手術などにおいて、成功率は90%と説明された際に、皆さんはどのような印象を持たれるでしょうか。「90%も成功するならよい手術」と思う方は多いと思います。しかし、私たちは「10%は失敗する手術」と考え、この失敗を減らすために試行錯誤するのです。もちろん手術の内容によっては、勝率が50%程度でもやらざるを得ないような病気の場合もありますが、その勝率がなるべく上がるようにさまざまな方策を考えます。

 合併症はどんな検査や治療においてもある一定の確率で起こるものです。例えば単純な採血でも気分が悪くなったり失神したりする人がいますが、このような症状を起こす血管迷走神経反射という合併症は約0.5%の確率で起こるといわれています。しかし血液検査で得られるさまざまな情報は、この合併症が起きたとしてもその不利益をはるかに上回るものであるため、日々たくさんの方に採血が行われているのです。

 しかし、いくらそうは言っても、合併症が起きた方は大変苦しい思いをすることになります。先の急性前立腺炎について、当院では100例をだいぶこえてから初めて起きました。施設としては少ないほうであるという見方もできますが、患者さんお一人お一人にとっては起きるか起きないかは0%か100%であり、医療者なら誰でも常に心苦しく感じていることのひとつではないかと思っています。

 (武雄市、なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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