大雨により冠水した道路。平野部では内水氾濫への備えが求められている=2017年7月、杵島郡白石町

 梅雨前線の活発化で佐賀県内でも災害への警戒が高まる中、大雨に伴う「内水氾濫」への備えが求められている。昨年の西日本豪雨では、福岡県久留米市で内水氾濫による住宅などの浸水被害が広範囲にわたって起きた。低平地の佐賀平野や白石平野は水害のリスクが高く、自治体などはハザードマップの活用や災害時の警戒情報の把握を呼び掛けている。

 海に注がれる河川は「外水」と呼ぶのに対し、河川へと流れる平野部の用水路などは「内水」と区別される。大雨で河川の水が堤防からあふれたり決壊したりして生じるのが外水氾濫で、河川の水位の上昇などで内水がはけなくなってあふれる状態が内水氾濫となる。

 県内は干拓による低平地が広がり、干満の差が大きい有明海に面して満潮時には海面が陸上より高くなる。国土交通省武雄河川事務所によると、管理する六角川や嘉瀬川の水位が高くなった場合は支流の中小河川の合流部に設置する水門を閉めて逆流を防ぐ。大雨の時に川の水を堤防の内側に流れ込まなくして被害を防ぐ一方、内水はたまり続ける状態になる。

 武雄河川事務所は「堤防整備などが進んで外水氾濫はなくなってきたが、地形的に内水氾濫による浸水被害が起こりやすいリスクがある」と指摘する。昨年の西日本豪雨でも県内の平野部で住宅の浸水や道路冠水が相次いだ。

 佐賀市では内水氾濫の被害を軽減するため、排水対策基本計画を策定して2014年度から対策を進めている。整備期間は30年間で、18年度までの5年間は短期対策と位置付けて2カ所の排水ポンプ場の整備や佐賀城堀の貯留機能の活用などを集中的に講じてきた。

 シミュレーションでは短期対策後の浸水面積の減少率は27%で、中長期対策後も55%にとどまる。内水氾濫のハザードマップを独自に作成するなどソフト対策も進めていて、市河川砂防課は「ハード整備には限界がある。住んでいる所にどの程度の浸水の恐れがあるか把握することや災害時の自助、共助も重要になる」としている。

 低平地に詳しい大串浩一郎佐賀大学教授(河川工学)は「水はけが悪くて排水しにくい佐賀県の平野部にとって内水氾濫は宿命と言える。住民は発生時の避難先やルートを把握しておくとともに、行政も浸水の深さや道路の通行止めなどの情報を住民に早く伝達する取り組みを進める必要がある」と話す。

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