参院選候補者の出陣式で、訴えに耳を傾ける支持者ら=2019年7月4日、佐賀市

 第25回参院選が4日に公示され、10月の消費税増税や、老後資金2千万円問題に端を発した年金制度などを主要な争点に舌戦が始まった。改選数1の佐賀選挙区は自民党現職と国民民主党元職の一騎打ちとなり、佐賀県に横たわる国策課題も論戦のテーマとなる。令和という新しい時代を迎え、日本、そして佐賀の将来像をどう示すのか。政治への関心を高めるためにも、候補者や政党はしっかりと、分かりやすい説明に努めてほしい。有権者はじっくりと政策を比べ、1票を投じたい。

 安倍晋三首相は模索した衆院解散に踏み切らず、衆参同日選を見送った。国会閉幕から1週間で参院選に突入した。政権選択選挙ではないものの、安倍首相の政権運営や実績に対する評価を示す機会となる。首相は改憲の争点化を掲げ、「議論すらしない政党を選ぶのか、国民に考えを示し議論を進める政党なのか」と主張している。自民、公明両党と維新などを加えた「改憲勢力」が、国民投票の前提となる国会発議の条件、3分の2以上の議席を維持するかどうかも、大きな焦点となる。首相は在任中の改憲実現に強い意欲を見せており、参院選の結果が、日本の行く末を左右する岐路となる可能性は否定できない。その意味では、議席の一つ一つの勝敗が日本の将来に直結するとも言える。

 急浮上した老後資金の問題は、年金制度への不安を拡散させた。95歳まで生きるには公的年金以外に夫婦で2千万円の蓄えが必要とした金融庁の報告書のほか、2千万円でも足りないという試算も出てきた。老後を安心して暮らすために、どういう年金制度を構築していけばいいのか、現制度の正当性の主張や批判だけでなく、建設的な議論を求めたい。与党に限らず、不安解消への道筋を示すのが政治の役割であるはずだ。

 佐賀選挙区は野党が候補者の一本化にこぎつけ、自民現職と共産新人が対決した1995年以来、24年ぶりとなる与野党一騎打ちとなった。対決構図が鮮明になったことで、双方の主張、論点も分かりやすくなる。特に、九州新幹線長崎ルートの新鳥栖-武雄温泉の整備方式や、佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画については活発な政策論争となろう。国策ではあっても、そこで暮らす人々の生活にどのような影響をもたらすのか、地方の活性化に結び付くのかどうか、事実に基づく情報で見極めたい。

 佐賀選挙区の前回2016年の投票率は56・69%で5割を維持している。だが、その後、国政、地方選挙を問わず投票率の低下傾向が続き、今回も低投票率が危惧される。当落は1票1票の積み重ねの結果である。これからの社会、生活を決める1票を大事にしたい。(辻村圭介)

 

 

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