町民は無料のコミュニティーバスから降りる高齢者たち=玄海町の玄海海上温泉パレア

 東松浦郡玄海町で2日から、町民は無料のコミュニティーバスが走り始めている。路線バスの空白地帯を埋め、地域の安全な移動手段を確保する。(2018年4月5日の記事)

 1日午前10時10分、町のコミュニティーバスが玄海海上温泉パレアの前に止まった。ドアが開き、高齢者約20人が「ありがとうね」と礼を言いながら、次々に降りた。

 コミュニティーバスは、町社会福祉協議会が運行していた福祉バスを拡充する形で始まった。従来は事前登録した65歳以上の高齢者らしか利用できなかったが、町民であれば誰でも無料で乗れるように変更。町社協が引き続き運行し、路線とダイヤも福祉バスをほぼ踏襲している。

 10人乗りのワゴン車で、1日5便、月~土曜日に走る。町北部の「値賀」、東部の「有浦」、南部の「牟形」の3ルートを、曜日ごとに回る。町役場や病院、スーパーなど主要施設には必ず止まる。

 運行当初から「家の近くまで迎えに来て」との声が根強くある。パレアや病院に行くためにバスをよく利用する山口幹郎(みきお)さん(84)は「バス停まで歩くのが大変な人もいる。好きな所で乗れるようにして」と要望する。

 町もこうした声は把握する。しかし町財政企画課の担当者は「路線バスの空白地を埋めるというコミュニティーバス本来の役割もあり、乗合タクシーではない。フリー乗車をしてしまうとダイヤやバス停の意味がなくなる」と理解を求める。今年5月には、バス停を49カ所から56カ所に増設し、より細かく地区を回るようにした。

 運行から今年5月までの、1日の平均利用者数は20・1人。福祉バスの2017年度の1日平均利用者数は25・6人で、減少している。町財政企画課の担当者は「運行の仕方が異なり、単純な比較はできない」としながら、「交通弱者は高齢者以外にも妊婦や子どももいる。事業はこれからも見直し、よりよい形にしていきたい」と話した。

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