9学年の縦割り班で掃除する玄海みらい学園の児童生徒=玄海町の同校

 玄海町の義務教育学校「玄海みらい学園」(446人)が、本年度で開校から5年目を迎えた。町の小中学校を統合したことで、中学入学後に人間関係や勉強につまずく「中1ギャップ」の解消に成功した。一方で7~9年生の中学生としての自覚、自主性をどう育むかという課題も生まれ、試行錯誤している。

 昼休みの校庭でブランコに乗った小学生の背を中学生が押して笑い合っていた。共有スペースでは9学年の縦割り班で掃除する姿もあった。「仲がいいでしょう」。井上英尚学園長はほほ笑んだ。

 同校は2015年、町内の小学校2校と中学校2校を統合して誕生した。小学生1~6年生を前期、中学生に相当する7~9年生を後期とし、同じ校舎で学ぶ。当初は小中を別の学校として扱う「一貫校」としてスタートし、17年度からは9年制の一つの学校とする「義務教育学校」になった。

 進学に伴う人間関係の変化がなく、合併の目的だった中1ギャップの解消について、井上学園長は「達成できている」と胸を張る。上級生の面倒見がよくなり、問題行動も減ったという。

 職員の連携も強くなった。全職員合同の会議を開き、子どもの情報を密に共有。後期を教える女性教諭(57)は「直接関わりがない前期の児童も、同じ校舎にいるので特徴が分かる」。井上学園長も「より各生徒に合わせた指導対応ができている」と話す。

 一定の成果を出している一方、課題もある。9年間同じ集団で過ごすため、中学生としての自覚を持ちにくい環境がある。また高校入学後につまずく「高1クライシス」に陥る可能性を指摘する声もある。

 同校では3月、6年生に前期の修了証書を渡したり、4月に新7年生へ花を手渡す式典を開いたりして自覚を促している。

 県内に6校ある「義務教育学校」でつくる連絡協議会の会長、大町町教育長の船木幸博さん(54)は「中学生としての自覚をどう育むかというのは、義務教育学校の共通の課題」とした上で、「学校側が、児童生徒の最終的な目標である9年生の理想的な姿を示すことが大事だ」と話した。

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