舞台裏にどんな仕掛けがあったか知るよしもないが、アルファベット300字足らずのツイッターで、翌日には米朝首脳の歴史的な「政治ショー」が実現する。思いは瞬時に相手へ届く時代である◆スマホもなかったころ、簡潔に思いを伝えた書簡として広く語られるのが、文豪ビクトル・ユゴーの逸話である。1862年に出版された『レ・ミゼラブル』の売れ行きが気になり、版元に送った手紙はたった1文字「?」。後日、出版社から届いた返信は、絶好調を示す「!」の1字だけだった。よくできた小話のような気もするが、思いを通わせるのに文章の長短はないということだろう◆日本の7月は旧暦の異称で「文ふみ月づき」。七夕の願い文ぶみを広げたのが由来ともいわれる。3年に1度、この時期に巡ってくる参院選は、有権者が願い文をしたためるような機会である◆尋ねたい「?」は山ほどある。「老後資金2千万円」問題で不安が高まる年金制度は大丈夫なのか。景気は本当によくなっているのか。米国との貿易交渉の行方は。オスプレイは、新幹線は、原発政策は…。しかし、近年「大事なこと」は選挙戦でほとんど語られず、宛先のない願い文ばかりがむなしく積み上がる◆きょうから街演に出る候補者や政党に「!」と膝を打つ返信はもらえるだろうか。21日まで、じっくり宛名を考えたい。(桑)

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