浜野浦の棚田のPRのために、SNSに投稿する写真を撮影する国重亜樹奈さん=浜野浦の棚田

4月から玄海町の地域おこし協力隊として働く国重亜樹奈さん=浜野浦の棚田

 福岡市博多区出身の国重亜樹奈さん(28)が、4月から玄海町の地域おこし協力隊として働いている。使命は耕作者が減りつつある浜野浦の棚田の活性化。「心奪われた美田のために」と未経験の農業に挑戦している。

 6月下旬、農道に止めた車から降り、あぜ道に入っていった。大学生の田植え体験会で植えた稲の成長を確かめ、スマートフォンで撮影。棚田のアピールのために作った会員制交流サイト(SNS)のアカウントに写真を投稿した。

 筑紫女学園大学卒。携帯電話の販売員として働き、店長を務めた大分市の店舗は契約件数全国1位を半年間維持した実績を持つ。

 棚田に心を奪われたのはその頃。ドライブしている際に棚田を見つけ、美しさに魅了された。以降、大分県別府市の内成棚田や長崎県波佐見町の鬼木の棚田、山口県長門市の東後畑棚田などを巡った。

 ただ知れば知るほど、高齢化や後継者不足などに危機感が募った。農機が入りにくいなど作業に手間がかかる上、作付面積が狭く収穫量が少ない特有の難点がある。全国で放棄地が増えている。

 身内に農家はおらず、農業の経験もない。しかし、「好きな棚田のために活動したい」と町の協力隊に応募した。周囲はなぜそんな田舎に行くのか不思議がった。国重さんは「一つの町に根を下ろして、活性化に取り組みたかった」と話す。

 課せられた任務は容易ではない。浜野浦の棚田の耕作者は13人。全体の面積に対する耕作率は6割にとどまる。目標は8割への向上。農作業を手伝いながら、地元住民の代わりに耕作してくれる人を募る棚田オーナー制の導入を検討する。

 町も年度内に棚田の整備計画をまとめる動きに入った。「見て楽しいだけでなく、体感できる場所にしたい。その上で棚田を維持できる仕組みを作っていきたい」。難題に挑んでいる。

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