鳥栖市上下水道局による工事架空発注などの不祥事が相次ぎ、市政への信頼を失墜させたとして市議会は6月27日、橋本康志市長に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した。法的拘束力はなく、市長は続投を表明したが、市政の混乱は当面、収まりそうにない。

 決議は最大会派の自民、公明、共産の13人の連名で提出。議長を除く20人で採決した結果、基(もと)の会も賛成して賛成14人で可決した。新風クラブ、社民・小さな声の会の6人が反対した。

 決議提出は、2月の市長選で橋本氏に自民推薦候補が10票差で敗れたことへの「遺恨」との指摘もあるが、少なくともそれは大きな理由ではない。

 確かに自民は過去4期連続で橋本氏に敗れているが、それよりも、市長が公約した駅周辺整備の見直しや新産業集積エリアなど大型事業が滞り、不祥事が続発していることへの危機感が大きい。

 公明が対決姿勢を鮮明にしたのも、昨年9月の新産業集積エリア用地買収を巡る農地法違反発覚のころからである。共産が4日公示の参院選を控え、決議に自民市議と一緒に名前を書くことに一時ちゅうちょしながらも、最終的に共同提出したのは、同様の危機感からとみられる。

 一方で、法的拘束力のある不信任決議を提出しようという動きは弱かった。地方自治法178条によると、成立には議員の3分の2以上が出席し、4分の3(16人)以上の賛成が必要で、過半数で成立する辞職勧告に比べてハードルが高く、そもそも成立は難しいとみられていた。

 市長は不信任成立の場合、議会の解散か自らの辞職を選択することになるが、賛成議員は「解散までは…」とやや及び腰で、別の議員も「今はすべてを市長が一人で決めていて歯止めが利かない状況。お灸(きゅう)を据えるためだった」と話し、解散の覚悟は薄かったことを認めている。

 では、今後はどうなるか。議会が示した意思は、市長自らの辞職である。だから、架空発注問題を巡り、市長が責任を明確にするとして自らの給料を7月から3カ月間30%減額する条例改正案も、反対討論で「もう限界。橋本市長ではこの難局を乗り切れない」などと減給ではなく辞職を求め、賛成6人、反対14人で否決した。

 さらに、市長が記者発表していた副市長2人制も、市長以下の執行部が機能していないことが問題として、「副市長を2人にしても現状が好転するとは思えない」と提案を見送るように圧力をかけ、最終的に見送られた。

 橋本市長としては、駅周辺整備事業を基本設計の概要発表直後に白紙に戻したことについて、想定の2倍に事業費が膨らんだことから“勇気ある撤退”をし、自らの選択に間違いはなかったとの思いがある。新産業集積エリアについても、知識不足で不用意に農地法違反を犯してしまったものの、職員に悪意があったわけではなく、「何とか前に進めるのが自らの役割」との考えを示している。

 9月議会に向けて反市長派議員の一部は再び攻勢を模索する考えを示している。橋本市長をはじめ執行部は、スピード感を持って大型事業を進め、停滞感を打ち破ってみせる以外に反市長派を納得させる手はないだろう。

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