国指定天然記念物「有田のイチョウ」。枝の落下防止のため、昨年実施した枝と枝をロープでつなぐ作業

 6月22日付の佐賀新聞でも報道されていたが、前日の21日に開催された国の文化審議会で、「有田のイチョウ」の追加指定が答申された。

 これだけだと、何だか新しく「有田のイチョウ」が国の天然記念物に指定されるようにも思えてしまうが、「有田のイチョウ」とは、泉山地区に所在する大イチョウの国の正式な指定名称で、指定自体はすでに93年も前の大正15年にまでさかのぼる有田で最古の指定文化財である。

 今回の追加指定のからくりはこうだ。大正時代の指定方法は、単純に樹木を“株”単位で、1株、2株などと指定するもので、そのため、どこからどこまでが文化財の範囲なのかという概念がなかった。これでは、適正な成長を促すため、よりよい環境を整えたくても、管理すべき場所自体がないため、手の出しようがなかったのである。ましてや成長し、徐々に根を張る範囲も変動する樹木である。

 適宜管理する範囲の変更を検討するにも、とりあえず、その基点となる場所を設けることが必要である。そのため、新たに現時点での「有田のイチョウ」の範囲を定めるのが、今回の答申の内容なのである。

 ただ、現在は審議会の答申が出たという段階で、指定されたということではない。今後、文部科学大臣名で官報告示が行われ、正式に追加指定される予定である。(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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