創業88年、上質素材に手間暇

 昭和6年12月に創業し、88年目。長い常連客は親、子、孫の3代、または一家4代がのれんをくぐりやって来ます。暑い夏場は冷たい氷宇治しるこやミルクセーキを目当てに多くの客が。店長の高島良邦さん(78)も「時には違うものを食べてみたら」と思うくらい、客は不思議と同じ物を頼むといい、いつもの一杯を口に運んでは満足の笑みを浮かべるそう。
 氷宇治しるこは、碗(わん)で抹茶をたてて手作りのシロップと混ぜ、一杯一杯にかけます。「こうして手をかけるのは、全国でも何軒だろうか」と高島さん。かき氷は抹茶の味と香りが立ち、氷の中からこしあんと白玉が現れます。極上の材料で作った白玉は冷たくなってもふわふわで「ここの白玉は固くないね」と驚かれるほど。「上質な素材を使うと、それ以上のものができる。素質を引き出しきれるかが大切」。一杯の中に、長い手間ひまと高島さんの思いが込められています。

無声映画の弁士だった父(左)の話を聞きに、旧制佐賀高の学生たちが多く訪れたという=昭和15年12月(提供)
昭和初期のレトロなたたずまいを見せる店内


 先代である父・伊藤一郎さんは無声映画の弁士でした。映画がトーキー(発声映画)に代わると職を失い、東京・神田の甘味処(どころ)「竹邑(たけむら)」で1年修業し、白山2丁目に開店。庶民的な関西の「ぜんざい」に対し、こしあんを溶かした「しるこ」は関東のハイカラ文化で、弁士上がりの先代は話上手。店はバンカラな旧制佐賀高生のたまり場にもなりました。
 東京でミュージシャンをしていた良邦さんは帰郷して店を継ぎ50年。店は再開発で白山1丁目に移転したものの、ほぼ当時のまま移築し、今もハイカラなたたずまいを見せています。氷の商品以外は持ち帰りもでき、重宝されています。高島さんは「以前は夜遅くまで営業していたが、近ごろは短めにした。細く長く続けていきたい」と話しています。

 

●MENU

氷、抹茶、シロップ、こしあん、白玉すべてに思いを注ぎ、手間ひまをかけた、夏に人気の「氷宇治しるこ」(600円)

 夏に人気の「氷宇治しるこ」と「氷宇治金時」は600円。卵と練乳を使うジェラートのような「ミルクセーキ」(510円)も多くのファンがいます。
 しるこは560円、ぜんざいは570円。ぜんざいには風味のいい十勝産の大納言小豆を使っています。黒柳徹子さんがテレビで紹介して全国区の人気になった「あわぜん」(680円)は、数日水にさらしたもちきびを朝夕もんでからふかし、7分づきにしてこしあんをかけた一品。6個セットで全国発送もできます。白あんを溶いた「宇治しるこ」も「恐らく全国ここだけの一杯」と自慢の商品です。

 

DATA

 

[住]佐賀市白山1丁目2ー20
[電]0952(25)0535
[営]11:30ー17:30
[休]不定
[P]なし

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