VOC文字入り麻袋

 国の重要文化財「武雄鍋島家洋学関係資料」の中に、オランダ東インド会社の銘「VOC」がある麻袋があります。

 図柄はチューリップの花などいくつかのパーツで構成されていますが、円形に結ばれたつるの上部の結び目からつるされている、赤地中央の黒帯の中に3つの×印を配したマークは、アムステルダム市の紋章です。その下に「Vereenigde Oost-Indische Compagnie; Dutch East India Company」の頭文字を図案化したマークがあります。

 オランダ東インド会社は、16世紀末国内各地に乱立した東洋諸地域との取り引きを望む諸会社の競争の弊害を除去する目的で、1602年に諸会社全てを合併して結成されました。この二つのマークは、オランダ東インド会社のアムステルダム支社(実質的な本社)を表しています。

 輸入用の麻袋と伝えられる資料ですが、袋の下部両端を裏側へ折り返して仮止めし、五角形を形作るなど実用性に乏しく、むしろ装飾的な要素が強いのではないかと思われます。

 昨年秋、岡山出身の文人画家浦上玉堂製作の七絃琴が岡山県立美術館に寄贈され、その琴袋が当資料と酷似していることが確認されました。玉堂が長崎に滞在した1805~6年ごろに入手した麻袋を仕立て直したものと推測されています。

 オランダ東インド会社は1798年に解散していることと合わせ、この資料が武雄にもたらされた時期の考察などの参考となると考えられます。(武雄市図書館・歴史資料館 一ノ瀬明子)

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