根元が黒く焼け焦げた「太閤松」を案じる藤田和歌子さん=唐津市浜玉町浜崎

周囲の松よりひときわ大きい「太閤松」。標柱(下)も立っている

 「唐津市浜玉町の虹の松原で松の木1本が燃えた」という23日の「事件ファイル佐賀」の小さな記事。それが樹齢数百年と言われる「太閤松」と知ったのは、この唐松特集ページで毎月、「松原を渡る風」を執筆しているNPO法人「唐津環境防災推進機構KANNE」事務局長藤田和歌子さん(36)のフェイスブックだった。

 藤田さんは22日朝、佐賀森林管理署唐津森林事務所からの連絡で「不審火」発生を知った。前日深夜の出来事で、たばこの不始末か何かで松の落ち葉が燃えたのかと現地に駆け付けると、太閤松の痛々しい姿だった。

 場所は虹の松原を貫通する浜崎旧道から南側に入った小道のそば。幹周り約4メートル、樹高約20メートル。松原の中でもひときわ大きく、太閤松の名にふさわしい。その老木の根元から約2メートルまでの樹皮が黒く焼け焦げていた。

 横には「太閤松」と記した標柱があり、「そう知って火を付けたとしか思えない」と藤田さん。幸い、枯死などの影響はなさそうだが、フェイスブックには「夜だし自然発火じゃないだろう。何が目的なんだろう」「心ない人がいる。怒りを通り越して悲しい」とコメントが寄せられている。

 国特別名勝の虹の松原では1978年3月、2件の火災が発生し、松の木約2千本が焼けたり、焦げたりした。原因は行楽客が捨てたたばこの火と思われ、営林署は保水力と繁殖力が高いクローバーの種をまいたという。

 ただ「白砂青松」の松原に戻そうと、市民と一緒に下草や広葉樹の伐採作業に取り組む藤田さんは「(生態系を壊す)そんなことはしたくない」と言い、「私たちが松原をどんなに愛し、どんなに大切にしているか、それを広く知ってもらうしかない」。気を取り直すように、そっと太閤松に手を寄せた。

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