午後から降り出した雨で傘を差す通行人。梅雨入りに農家から安心する声が聞かれた一方、災害への不安の声もある=佐賀県庁前(撮影・鶴澤弘樹)

 過去68年間で最も遅い梅雨入りになった佐賀県内は26日、久々の恵みの雨に農業者には安堵(あんど)の表情が広がった。一方で西日本豪雨や九州北部豪雨など近年、梅雨期に災害が発生する傾向を踏まえ、被災地域の住民から警戒の声も上がった。

 「ほっとした。農家にとって梅雨は大事。雨は降るべき時に降ってもらわんと」。佐賀市の農業原邦剛さん(40)は、久しぶりの雨空に頬を緩ませた。水田6ヘクタールの田植えは終えていたが、今後も水が必要になるので心配していたという。

 少雨の影響で嘉瀬川ダム(佐賀市富士町)など県内のダムは貯水率が大幅に下がり、山間部を中心に水不足が生じている。原さんは「数年前も梅雨が遅れ、8月には日照不足もあって稲の生育が思わしくなかった。今年はそうならなければいいけど」と気をもむ。

 昨年の西日本豪雨では、県内の山間部でも土砂崩れなどが相次いだ。地区で被害が出た佐賀市富士町下無津呂地区の江里口義一郎自治会長(65)は「今後、大雨が降らないか心配」と吐露、「災害時は早めに地元の公民館に避難するよう集会などを通じて住民に呼び掛けたい」と述べた。

 梅雨期は平野部で浸水被害を防ぐために河川の樋門(ひもん)を調整する頻度が増える。佐賀市内100カ所以上の樋門を管理する市河川砂防課は、雨雲の動きや雨量など気象データを把握しながら災害情報に対応する。担当者は「夜の呼び出しの可能性もある。健康に注意して業務に当たる」と引き締めた。

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