自作のチェンバロを前に、「大人になっても音楽を楽しんで」と生徒たちに呼び掛ける中村壮一さん=唐津市浜玉町の工房

チェンバロのメンテナンスをする中村壮一さん=唐津市浜玉町の工房

 調律師の中村壮一さん(54)=唐津市=は、九州でも数少ないチェンバロ製作者。バッハの「2つのバイオリンのための協奏曲」を演奏する県高校合同弦楽合奏団に本物のチェンバロを貸し出し、楽団に寄り添って最高の音色をつくり出す。

 チェンバロは18世紀、バッハが活躍した時代に宮廷音楽で使われた。中村さんは国立音楽大学で調律を学び、チェンバロ製作のパイオニア・堀榮藏さんに弟子入りした。

 貸し出すのは、イギリスの楽器博物館にある当時の資料などを基に中村さんが製作した「フレンチ・タスカン1769モデル」か、日本を代表する鍵盤楽器奏者・小林道夫さんから譲り受けた堀さん製作のチェンバロ。本番まで調律を重ね、よりコンディションの良い方を持ち込むという。

 チェンバロは照明や室温などでも音色が変わる。当日は中村さんも会場入りして、最高の音を奏でるために調整を重ねる予定だ。

 県高校合同弦楽合奏団として出場する生徒は15人。「楽器は何歳になっても演奏できる。合奏を極めるのは大変なことだが、大人になっても音楽を楽しんでほしい」とエールを送る。

 演奏者と製作者の思いが重なり、優雅な旋律が会場を包む。

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