カフェで挙げた結婚式

 梅雨は来ずとも青々とした森に、鳥たちの声が四方から響き、窓を開けずにはいられない。車庫の棚に置きっ放しの長靴にヒナを育てている鳥がいて、家族でそっと見守っている。

 今月上旬、友人が新しい家族をつくった。わが家のカフェでの初めての結婚式だった。富士町に1人で暮らし、有機農業で何十種類もの野菜を作ってきた仲間だ。心臓の大手術を乗り越え、雨の日も雪の日も扉の外れそうな軽トラに乗って、土を育ててきた。

 お相手は脊振で土をこね、焼いてきた陶芸家。いつもじっとその人の心を見つめるようなまなざしを持っている。2人のこれまでをいくら聞いても尽きない。さまざまを経てきた実直な2人が出会って、真ん中の三瀬で式を挙げてくれた。

 2人のこれまでに心寄り添ってきた身近な人だけで囲んだ、森の中の和やかで温かい式になった。人生を相当に歩んできた人たちの言葉に表せないうなずきと、自分たちの希望をも感じつつの祝辞と空気に満ちていた。(養鶏農家・小野寺睦)

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