物事には不思議な「境目」がある。同じものが突然別のものに変わる、そんな境目。例えば唾は〈口のなかにあるうちはぐんぐん飲んだりしてるのに、なぜいったん口外に放出され、外気に触れた途端に極めて汚物と認定されてしまうのか〉。作家の川上未映子さんの疑問である(『世界クッキー』)◆爪や髪の毛もそう。目の前のおいしい料理も、おなかいっぱいになれば残飯。ある時点まで価値のあったものが、逆に迷惑がられる。ごみ問題など、その「境目」をどこに置くかで深刻さが変わる境界問題なのかも◆先日、ショッピングモールで買い物をしたら、洋服のショップでレジ袋が有料になっていた。来年4月からの義務化をにらんで、気の早い対応が進んでいる。スーパーやコンビニの話とばかり高をくくっていると、これからは服を買うにも買い物バック持参という時代。「境目」は確実に変わりつつある◆一口にレジ袋といっても形状はさまざま。袋詰めの台にある、豆腐とか水気のあるものを包むロール状のポリ袋も有料化の対象になるのか、といった悩ましい「境目」もある◆深刻化する海洋プラスチック汚染の解決には、もっと他にも有効な対策が必要だろう。便利さに甘えていないか、安易に物を捨ててはいないか…身勝手の「境目」が緩まないよう、胸に手を当ててみる。(桑)

このエントリーをはてなブックマークに追加