第101回全国高校野球選手権大会(8月6日から16日間・甲子園)の出場校を決める地方大会が沖縄と南北海道で始まり、佐賀県代表を決める佐賀大会も7月6日に開幕する。「令和」に入って初めての大会と並行し、日本高校野球連盟は投手の球数制限に関する検討を着々と進めている。球児の健康を第一に、地方チームの現状も含めた慎重な議論を期待したい。

 高校野球を取り巻く環境は大きく変化している。日本高野連は昨春の選抜大会から「延長十三回タイブレーク」を導入したが、今夏の甲子園大会では休養日を従来より1日多い2日とし、準々決勝の翌日と準決勝の翌日に充てる。ともに球児の身体的な負担軽減などが目的で、こうした改革は今後も一層図られるべきだろう。

 夏の大会は過酷だ。特に、投手の連投による「投げすぎ」が毎年、問題視されている。昨年12月の新潟県高野連の「1試合100球」の提言に端を発し、日本高野連も投手の肘、肩の故障を未然に防ぐための改革に乗り出した。球数制限が導入されれば、100年以上続く高校野球にとって「令和維新」ともいえる大改革となる。

 6月初めに開いた「投手の障害予防に関する有識者会議」では、一定の日数の中で投げられる球数を制限するという方向性が示された。具体的な日数や制限数などについては、9月に行われる会合で検討する。今のところ全国大会のみを対象にするというが、甲子園出場を目指す上で複数投手の育成が必然となることを考慮すれば、そう遠くない将来、地方大会に波及するのは既定路線といえよう。

 1994年の夏の甲子園で県勢初の全国制覇を成し遂げた佐賀商。2年生エースとして決勝までの6試合を1人で投げ抜いた峯謙介さん(小城市)は、今回の球数制限の議論について「難しい問題」と率直に話す。

 投手の調子が良くても、仮に球数が100球に制限されていたら完投は厳しくなる。峯さんは「投手交代はゲームの流れを変えるし、チーム状況によっては複数の投手を持つのが難しい場合もある」。少子化とスポーツの多様化の影響で硬式野球部員が減少傾向にある中で、トップクラスの投手を何人もそろえるのは容易なことではない。佐賀など地方のチーム、それも公立校となればそのハードルはさらに高まるだろう。

 一方で、全日本軟式野球連盟は2月中旬、今夏の小学生全国大会で、1日あたりの投手の投球数を「70球以内」と決めた。これを受け県内の少年野球は直後の3月から球数制限を導入した。投球過多への対応に関しては、小学生世代が高校生世代に先行している格好。制限数ばかりの議論にとどまらず、団体の枠を超えて野球界が一丸となり、幼少期からの対策を進めなければいけないのではないか。また、現場の声として多い「大会日程の緩和」も同時に取り上げられるべき課題だ。

 現状では、球数制限がいつから導入されるのかは不透明。少なくとも、今年の地方大会と全国大会は現行のルールで実施される。一投一打に悔いが残らないよう、コンディション調整に万全を期して臨んでほしい。球児たちにとって、一生忘れられないドラマチックな夏となることを願う。(市原康史)

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