古賀華恋さん「おんな」

田中耀聖さん「11:15PM」(F100号)

橋本洋子さん「蓼藍(藍の女神)」

田原有可里さん「ひとつ、ひとつ」(F100号)

 時代を超えて育まれてきた豊饒(ほうじょう)の芸術風土―。1914(大正3)年に始まり、102回目を迎えた佐賀美術協会展は、洋画、日本画、彫塑、工芸の秀作約300点が一堂にそろう。伝統の“美の祭典”も23日に閉幕が迫った。一般公募部門のうち、二席にあたる「鍋島報效会賞」受賞作を紹介する。

 絵画の2部門は、佐賀北高の3年生が受賞した。洋画の田中耀聖さん(17)=佐賀市=の「11:15PM」(F100号)は深夜、自動販売機の前でスマートフォンをいじる自画像。青春のひとこまのようだが、主役は自販機の光。「光の表現の面白さに引かれる。自分やペットボトルは描き込まず、光に目が行くようにした」。何気ない風景を浮かび上がらせた巧みな描写が叙情性を引き出す。

 日本画は田原有可里さん(17)=佐賀市=の「ひとつ、ひとつ」(F100号)。色鮮やかなトルコランプが浮かぶ空間に少女がたたずむ。「手作りのトルコランプは一つとして同じ物はなく、多様性を認め合う人間社会と重ねて描いた」。背景の色調を抑えめにランプの美しさを強調。少女の優しいまなざしも印象的だ。

 彫塑は、佐賀大学4年の古賀華恋さん(21)=鹿島市=の半身像「おんな」が受賞した。肉が重なり合う部分の表現や、女性の美しさが引き立つポーズを模索しつつ「手も含めて表情が豊かになるよう心がけた」。左手を顔に当て、遠くを見つめるまなざしは情感にあふれ、肉感的な造形とともに存在感を放つ。

 工芸は、橋本洋子さん(73)=鹿島市=の染色「蓼藍(たであい=藍の女神)」。蓼の花や葉、茎をモチーフとしたデザイン。ザクロの実、クリの皮の煮汁と墨などを使って染め上げた。「染料として使われる藍に感謝しつつ、植物としての魅力も知ってもらえれば」と受賞を喜ぶ。

 ▼佐賀市の県立美術館で23日まで、入場無料。22日午後3時半から同館ホールで佐賀大学芸術地域デザイン学部の德安和博教授が「近年の制作と彫刻への思い」と題し講演。23日午後2時からは入選作品の講評会を行う。

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