「口の中にミルクのかすみたいなものがついているんですけど…ガーゼで拭いてみましたが取れません」「じゃあ、ちょっとみせて。あーんしてごらん」と言いながら、3カ月になるKちゃんのお口をのぞかせてもらいました。「おかあさん、これカビ。カビがはえてる」「ええっ、カビですか、赤ちゃんにカビが生えるんですか」。

 Kちゃんのほっぺたの内側の粘膜には、モヤモヤとした白いものがついていました。小児科医ならば、見ればすぐに診断がつくもので、鵞口瘡(がこうそう)といいます。皮膚や粘膜に寄生するカンジダ・アルビカンスという真菌が原因です。赤ちゃんは免疫力がまだ弱いので、哺乳瓶や手指などからカンジダが口の中に入ると、粘膜に生着し白い塊をつくることがあります。体調不良で栄養状態が悪かったり、抗菌薬を使用したときなどにかかりやすいといわれています。健康な子ではしばらくすると自然に消失することもありますが、口の中に塗って真菌を退治する薬がありますので処方をしました。

 私が小児科医になった頃は、治療薬としてピオクタニン液という紫色の色素液を綿棒で塗り、唇まで紫に染まった赤ちゃんをよく見ていました。カンジダはおむつかぶれの原因にもなりますので、おしりも診ましたが幸いきれいでした。カンジダは腸管内などに普通にいる真菌ですから、哺乳瓶やスプーンを日頃から清潔にしておむつ交換後の手洗いを励行することが予防になります。

 その他、赤ちゃんの口の中の白い物としては、半球状の隆起物が歯茎にできる上皮真珠があります。同じく白っぽい色をしていますが、質感が違い、真珠のようにツルッとしたものです。これは歯をつくる組織が吸収されずに残ったもので、自然に消失しますので放置しておいてかまいません。

 いずれにしても、赤ちゃんの口の中をのぞいてみて、日頃からよく観察しておくことはとても大事です。

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患,アレルギー疾患。

 

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