倉成さんの遺影を抱える妻の登志子さん(中央)と、編集した井手さん(右)と山口さん=佐賀市

「薬草観察ハンドブック~植物の特徴・名前の由来・薬効などが楽しく学べる」の表紙

 佐賀市の徐福長寿館の元館長で、2017年に亡くなった倉成靖任さん=佐賀市、享年79=の遺稿をまとめた「薬草観察ハンドブック」(洋楽堂書店)を、遺族や友人らが出版した。園芸種も含めて県内で見られる植物約350点を取り上げ、豊富なカラー写真で特徴や薬効などを解説している。

 倉成さんは基山町出身で、鳥栖高-大阪薬科大卒。佐賀県薬務課、県薬剤師会薬事情報センター長を経て、2003年から07年まで徐福長寿館の館長を務めた。県内各地でフィールドワークを重ね、「クラナリイヌワラビ」や「ヒノクマスミレ」などを発見した。

 生前から出版に向けて原稿を準備していたが、病に侵され、志半ばでこの世を去った。パソコンに残された原稿や写真を元に、親交があった佐賀植物友の会副会長の井手義信さん(68)=小城市=と、元県庁職員で薬剤師の山口浩子さん(71)=佐賀市=が、昨年10月から編集作業を進めてきた。

 完成したハンドブックはオールカラーで、葉の形などの特徴や薬効、名前の由来などを紹介。さらに「この草の工夫」の項目を立てて、どのような生存戦略で繁殖しているかなど、ユニークな視点から解説している。

 このほか、コラムとして「屠蘇の由来」「金立山の不老不死薬」などの読み物や、呼び名の方言などもまとめている。

 編集した井手さんと山口さんは「言葉の選び方や着眼点に倉成さんらしさがあふれていて、在りし日を思いながらまとめた」と語る。出来上がった本を手に、妻の登志子さん(77)は「本人もなんとか完成させたいと真夜中までパソコンに向かっていた。皆さんの協力で形にできて、きっと喜んでいるでしょう」と遺影を抱き寄せた。

 ▽「薬草観察ハンドブック~植物の特徴・名前の由来・薬効などが楽しく学べる」は変形A4判、206ページ。発行部数は350部で、予約で完売した。問い合わせは洋楽堂書店、電話0952(22)0022。

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