スカーフを頭に巻き、犠牲者を悼む女性首相。3月に起きたニュージーランドの銃乱射事件で、イスラム教徒への連帯を示したその姿は世界中で称賛された◆しかし一方で、心穏やかでない人もいた。英国在住のコラムニスト・ブレイディみかこさんがPR誌「波」6月号に、友達のイラン人女性の胸中を書いている◆あのスカーフのように、イスラム圏の女性が身に着けるヒジャブは、公共の場では嫌でもかぶらなければならない。脱ぐ権利を求めて戦った人は投獄されたり、罰としてムチで打たれる。そんな抑圧の象徴が〈「平和のシンボルとか言われたら、『はあ?』って思う人もいるんだよ」〉。分かり合うことは実に難しい◆ホルムズ海峡で日本のタンカーが攻撃された。安倍首相が仲介外交に乗り出した直後、米国とイランの関係は余計こじれてしまった。親友のために古い知人を訪ね「仲直りしようよ」と握手を促す…凡俗が期待するような展開にならないのが国際社会の現実◆そもそも対立の原因は勝手に核合意から離脱したトランプ政権にある。「それはダメ」と忠告するのも友情だろう。ブレイディさんの住む英国には「けんかの仲裁に入る者は血まみれの鼻をぬぐう」という言葉がある。日本にその覚悟はあるか。まさか、選挙前のパフォーマンスだったわけではないだろう。(桑)

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