コハダ料理を振る舞う女子会の舩口直子さん(中央)=藤津郡太良町の光福寺

有明海を一望できる竹崎城跡展望台=太良町大浦

脂が乗り、表面が艶やかなコハダの押しずし

 江戸前にぎりずしを代表する光り物「コハダ」。きりりと艶やかに光る美しい高級魚は、佐賀県最南端にある藤津郡太良町の竹崎港で水揚げされ、東京都中央卸売市場で全国一の取扱量を誇る。約20軒の投げ網漁師たちが、銀座の名店で愛される「江戸前ずしの華」の供給を支えている。

 6月上旬、この小さな港町でコハダを使った一日限りの食堂が開店した。お寺を会場にした地域おこしの取り組みで、メニューは押しずしや天ぷら丼、つみれ汁と「コハダ尽くし」。ここでしかお目にかかれない料理に、町内外から100人以上が集まり、にぎやかな会話が弾んだ。

 食堂を開いたのは漁師の妻らでつくる「竹崎コハダ女子会」。鮮度抜群のコハダを「町の新しい名物に」と約3年前に結成した。代表は舩口直子さん(40)=長崎県諫早市出身=でメンバーは8人。結婚を機に竹崎と縁ができた妻たちが、漁の手伝いや出荷作業、子育てや家事の合間を縫って活動している。

 コハダは下ごしらえが難しく「料理人の腕が分かる」という。女子会は、さばき方やうま味を引き出す酢じめの加減などを、公民館に集まって勉強を重ねた。時には漁師妻の「先輩」たちの手ほどきを受けながら、レシピを研究した。食堂は昨年に続いて2回目の開店だったが、予約がすぐに完売する盛況ぶりだった。

 コハダは成長段階によってシンコ、コハダ、ナカズミ、コノシロと名前が変わる。竹崎では「ツナシ」と呼ばれ、伝統的に投げ網漁が営まれてきた。漁師が早朝から漁に出て漁獲は東京に空輸するが、地元では値崩れを防ぐために出荷調整する「お裾分け」があり、昔からこの町の食卓に並ぶ文化が根付いている。

 女子会は3月、豊洲市場や東京のすし店を訪ねた。竹崎のコハダが卸され、消費者の口に入るまでの流通経路を実際に見に行った。「コハダの味を求めて足を運ぶ人がたくさんいて、うれしい気持ちになった」と舩口さん。余ったコハダを地域で活用できないかという出発点から、活動を通じたイベントへの出店、テレビ取材なども入るようになり「少しずつ竹崎のことやコハダの魅力を知ってもらえれば」と一級産地のPRにつなげている。

 このほど、港近くの旅館「一福荘」が名産竹崎ガニとセットでコハダの刺し身などを提供し始めた。仕入れは天候次第のため、要予約で受け付けている。

 

トピック

 竹崎港近くの高台にある竹崎城址(じょうし)展望台は、広大な有明海を一望できる。多良岳山系や雲仙岳まで見渡せる大パノラマを満喫することができる。

 南北朝時代に築かれたとされる竹崎城を、1992年度に再現し、展望台が完成した。天守閣を思わせる3階建てで、1階は漁具資料館になっている。高級2枚貝のタイラギ漁に用いる潜水服など、珍しい漁具を展示している。

 親子で楽しめるよう、草スキーができる公園になっている。春は桜、秋はコスモスが咲き、お城とのコントラストが映え、写真家にも人気のスポットだ。

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