支援者が用意した部屋で暮らす外国人技能実習生。わずかな貯金を取り崩して生活費に充てている=佐賀県内

 外国人技能実習制度で、劣悪な労働環境に置かれていた佐賀県内外の実習生が、相次いで県内で保護されている。今月7日にはカンボジア出身の2人が賃金の未払いを訴え、長崎から県内の支援者の元に身を寄せた。この支援者が受け入れた実習生はこれまでに15人。いずれも支援者が国認可の監督機関などに通報して問題が発覚しており、不十分なチェック体制という課題が浮かび上がっている。

 7日に保護されたのは、カンボジアから2017年3月に来日し、長崎県の縫製会社で働いていた20代と30代の女性2人。監督機関の外国人技能実習機構が保護し、現在は新しい実習先が見つかるまでの間、佐賀県内の支援者が用意したアパートで暮らしている。

 2人は1日13~14時間、同じ会社で洋服を製造していた。毎月の給料は全額支払われず、寮費などを引いた手取りは3~7万円ほど。会社は「実習後に不足分を支払う」と言い、会社を監督する監理団体からは1日130着を製造するノルマを課されていたという。健康保険証の有効期限は昨年7月末までで、保険料が支払われていなかった可能性もある。

 実習生を支援しているのは、佐賀市で日本語教室を開く越田舞子さん。これまでに愛媛県の縫製工場などで長時間労働をさせられていたベトナム人女性ら15人を受け入れた。現在はカンボジア人2人のほか、県内の建設会社で事前の説明と異なる仕事に従事していた20代のベトナム人女性ら2人が身を寄せている。

 保護された実習生の多くは日本語を十分に話せず、労働局への相談や失業手当の支給手続きも越田さんがサポートしている。こうした支援者は少なく、越田さんの元には全国各地の実習生から相談が寄せられる。

 問題が後を絶たない背景には、企業や受け入れ窓口となる監理団体に対するチェック体制の甘さがある。実習機構による立ち入り調査は、監理団体が年1回、企業は3年に1回だけだ。

 外国人労働者の受け入れ事業所は昨年10月末時点で全国21万6千カ所、県内は746カ所に上る。労働基準監督署も事業所への立ち入り調査をしているが、担当職員の人数は限られ、全てを回るには数年かかるのが実態という。

 実習生側にも声を上げにくい事情がある。越田さんが保護した15人の多くは多額の借金を抱えて来日していた。「工業製品の検査」という母国での説明と異なり、建設会社で働いていたベトナム人女性もその1人。会社と交わした雇用条件書の職種欄にはベトナム語の翻訳がなく、女性は「仕事をするまで分からなかった。嫌だと言ったら、日本で働けなくなると思った」と約8カ月間、1人で耐えていた。越田さんは「実習生の立場は弱い。国は実習生に寄り添い、本気で対応してほしい」と訴える。

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