「注文を間違える料理店」は認知症の人たちが接客する店だ。出てくる料理が注文と違ったり、水が二つ出てきたり。それでも「まぁいいか」と受け入れて社会での交流を広めようという取り組みである◆2年前に東京で期間限定で開かれたレストランが最初。認知症の高齢者が仕事を通して充実感を得ることの意義、周囲が間違いを受け入れ、おおらかに接することの大切さを伝えている◆認知症の患者数はどう推移するのか。戦後間もない1947~49年に生まれた「団塊の世代」の全員が75歳以上となる2025年には、約700万人に達すると推計されている。なんと高齢者の5人に1人にのぼる◆この2025年までの認知症対策について政府が先月、大綱の素案を示した。重要な柱が「予防」。発症人数を抑制する初の数値目標も導入した。だが、根本的な原因究明や治療法がない中での数値目標は「認知症になったのは予防の努力を怠ったからだという誤解を生む」との反発を招き、結局取りやめるという◆そもそも認知症は誰でも発症する可能性がある。年金問題もそうだが、最近、政治家や官僚の考えることが国民とはずいぶん隔たりがあるのではと感じることが続いた。「注文を間違える料理店」が教える希望を持って生きられる社会、寛容な世の中とは何かを考えたい。(丸)

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