1960年代以降、昭和で言うと40年代に建てられた文化施設が老朽化し、建て替えや統廃合の時期を迎えている。佐賀市民会館(66年建設)は既に廃止、解体され、鹿島市民会館(同)は現地建て替え、唐津市民会館(70年建設)も現地建て替えの方向で議会での審議に入っている。

 文化庁が誕生したのが68年。心の豊かさや精神的な充足を求める文化志向が高まった頃だ。唐津市民会館(開館当初は文化会館)の落成式では官房長官だった保利茂氏が「現在の唐津市にはすぎた感じがしないでもないが、5、6年後にはふさわしい持ち物になるよう、牽引車(けんいんしゃ)的役割を」と述べた。

 そんな期待を担い、地域の文化創造・発信の拠点となって半世紀。社会の成熟化と価値観の変化で文化ニーズは多様化する。自主事業を含め、地方の文化施設は何を提供すべきか、役割も変わる。

 加えて自治体財政は厳しさを増す。鹿島市は基本構想段階で新市民会館の建設費を30億円としていたが、財源のめどが立たないとして20億円規模に圧縮し、3階建てから2階建てに変更した。維持管理費を含め、もはや従来の延長では運営は成り立たない。

 その一方、人口減少と消費の流出に直面する地方の都市にとって、文化施設はにぎわいづくりやコンパクトシティーの核として新たな役割を求められている。

 唐津市民会館がそうだ。城下の面影を残す西城内にあり、唐津神社に隣接し、唐津くんちの曳山(ひきやま)展示場を併設する。2022年5月完成予定の新市庁舎や移築復元した旧大島邸などとともに、文化・行政ゾーンを形成する。まさに唐津のシンボルゾーンである。

 それだけに景観との調和をはじめ、50年後、100年後を見据えた一帯のグランドデザインの下、計画を策定する必要がある。

 ただ曳山展示場の同時建て替えはつい先日まで予定されていなかった。さらに工事期間中、曳山(やま)14台を唐津駅近くのふるさと会館アルピノに移設展示する計画だが、そもそもアルピノは来年4月に民営化する方針だった。唐突感は否めず、庁内の調整、連携不足を指摘する声が聞かれる。

 人口縮減時代を迎え、公共施設の更新、統廃合は「選択と集中」、さらには他施設との複合化や相互利用が必要となる。各自治体とも公共施設等総合管理計画を策定し、個々の部局に分散している情報を一元管理し、総合的なマネジメントを進める。

 唐津市は市庁舎、市民センター、公民館、小中学校と、建て替えや大規模改修が続くが、市民会館は文化政策の拠点として利用する市民の視点が不可欠だ。広く庁内外に情報を提供し、開かれた論議の中で、時代にふさわしい施設像を描いていきたい。(吉木正彦)

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