昔々、親に逆らってばかりのカエルがいた。死期を悟った親ガエルは「死んだら川のそばに埋めてくれ」と頼む。そうすれば山に埋めてくれるに違いないと考えたのだ◆しかし、これまでの親不孝をすまないと思っていたカエルは、最期ぐらい望みをかなえてやろうと、川のそばに葬った。だから今でも雨が近づくと、川があふれるのを心配してカエルが鳴く…。『雨のことば辞典』で「雨蛙」の項にこんな物語を見つけた◆大雨で洪水や土砂災害の危険が迫った際、住民の取るべき行動が5段階の防災情報で表示されることになった。氾濫警戒情報が出た「レベル3」で高齢者らが避難。氾濫危険情報や土砂災害危険情報の「レベル4」になれば、すぐ全員避難。命を守るために何をすべきか、直感的に理解できるようにしたそうだ。カエルの鳴き声どころではない◆昨年7月の西日本豪雨では、県内初の大雨特別警報が出されたが、避難指示に従ったのはごくわずかだった。米国ではハリケーンのさなか、警報を軽んじてどんちゃん騒ぎを続け、被害を広げた苦い過去もあるという。「数十年に一度」という大雨の枕ことばに慣れっこになって、心の中でそんな「ハリケーン・パーティー」を楽しんではいないか◆北部九州の梅雨入りも近い。カエルの歌が耳に優しいくらいの空模様だといい。

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