地球規模で温暖化が進み、異常気象が顕在化する中、環境省が2019年版の「熱中症対策ガイドライン」を発表した。昨年5月から9月までの5カ月間に、熱中症のため緊急搬送された人は全国で9万5137人。ガイドラインは「暑熱環境」という言葉を用い、高温多湿になるほど熱中症のリスクが高まると警鐘を鳴らしている。社会全体で命を守る備えや工夫を広げていきたい。

 春は過ごしやすいという常識が全く通用しないことを痛感する一日となった。5月26日、日本列島は各地で記録的な猛暑になり、熱中症とみられる症状で2人が死亡、575人(佐賀は8人)が救急搬送された。北海道佐呂間町で39・5度を観測。これは5月に観測された最高気温の全国記録で、佐賀県内も杵島郡白石町で34度を観測した。「まだ5月なのに…。夏本番はどうなるのか」と思った人も多かったことだろう。

 熱中症は高温多湿の環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体内の体温調節機能が破綻して発症する障害の総称。医師らは正しい知識があれば防げるとする一方、誰にでも起こり得るとして日ごろの体調管理や小まめな水分補給の必要性を訴えている。

 二酸化炭素排出が温暖化の原因で、世界中で高温化が進んでいる。ガイドラインによると、日本の夏季の平均気温はこの100年で約1・5度上昇。特に都心部はヒートアイランド現象の影響が大きく、東京は同じ期間で約3度上昇したと指摘している。

 もちろん佐賀も例外ではない。昨年は驚くべき酷暑で、8月の月平均気温30・1度は観測史上最高だった。最高気温35度以上の猛暑日は年間で36日あり、こちらは1994年の38日に次いで多かった。こうした高温化の傾向は今後ますます強まっていくだろう。

 熱中症の死亡者は高齢者が多い。高齢者は暑さを感じにくく、もともと体内の水分量が少ないため、熱中症が重症化しやすいという。エアコンの使用を控えると、リスクは一気に高まってしまう。

 今回のガイドラインは来年夏に迫った東京五輪や訪日外国人の急増なども念頭にまとめられている。イベント主催者らに十分な備えや参加者への配慮を求め、場合によっては中止や順延を決断するように求めている。

 北海道佐呂間町で39・5度を観測した5月26日は、全国的に小中学校の運動会がピークで、各学校や教育委員会は対応に追われた。熊本県大津町では、この日行われた6小学校の運動会すべてを午前中までに短縮。佐賀市内は12校が運動会を実施したが、プログラムを午前30分、午後30分の計1時間短縮したところもあった。4競技ごとに水分補給の時間を設けるなど、いずれも細心の注意を払いながらの開催となった。

 こうした傾向は全国で見られ、長野県では運動会の半日化に取り組む小学校が増えている。児童の安全を第一に時短の流れが生まれており、開催時期なども含めて、さらに見直しが広がっていきそうな気配である。今後、私たちは暮らしのさまざまな場面で熱中症対策を打ち出す必要性に迫られるだろう。もちろん自己管理も大事で、「自分だけは大丈夫」といった根拠のない甘い考えはまず捨ててほしい。

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