日吉神社がある雑木林(写真下)。吉野ケ里歴史公園の中心部に位置している。写真左奥は北内郭=1月、神埼郡吉野ヶ里町(ドローンで空撮)

 佐賀県は、国指定特別史跡の吉野ケ里遺跡(神埼市郡)の未調査区域で、北墳丘墓西側に位置する日吉神社一帯の発掘に乗り出す。公有化に向け、土地や建物の鑑定に必要な予算を11日に開会する定例県議会に諮る。長年、考古学ファンの想像をかき立ててきた区域で、新たな発見につながるか注目が集まる。

 日吉神社は吉野ケ里歴史公園の中心部に位置するが、公園の敷地には含まれていない。現在は雑木林に覆われ、敷地面積は4209平方メートル。地権者が神社庁であることなどから、遺跡発見のきっかけになった工業団地に伴う発掘調査や、その後の調査でも発掘対象になっていなかった。

 吉野ケ里遺跡の発掘調査をした七田忠昭佐賀城本丸歴史館長(67)によると、弥生時代中期(紀元前2~紀元1世紀ごろ)の甕棺墓(かめかんぼ)の列が北側から日吉神社のそばまで伸びている。中国製の銅鏡や貝殻で作られた36個の腕輪とともに埋葬された政治・宗教的に重要な人物とみられる女性の甕棺墓が見つかっている。七田氏は「他にも絹の服を着た女性が見つかっており、特殊な地域」と話す。

 神社を巡っては数年前から氏子らが高齢化に伴い参拝が難しくなっているとして、県に移転に向けた予算措置を求めていた。

 県は予算上の問題や移転候補地が決まっていないとして消極的だったが、4月に文化財保護担当が県教育委員会から知事部局に移管すると対応を変更した。「遺跡の保存と活用を図り、全国に向けて吉野ケ里遺跡の価値を発信する」(文化財保護室)として、土地や建物の鑑定費用490万円を含む予算案を上程する。

 日吉神社氏子総代の城島信夫さん(78)は移転に向けて「一歩前進で、期待している」と話す。移転先は決まっていないが今後、協議を進めるという。

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