国の天然記念物の大イチョウ。管理地を確保するため、西松浦郡有田町が隣接地を購入し、民家は移転することになった=有田町泉山

 佐賀県西松浦郡有田町は国の天然記念物「有田の大イチョウ」の保全に向け、民家がある隣接地を購入する。高さ30・5メートルに届く高所作業車が出入りできる場所を確保し、生育を管理する。隣接する民家も国の文化財で、イチョウの枝が落下し被害を受けており、両者をどう保全するかが課題だった。今回の措置に伴い、民家は移転することになる。町は関連予算案を4日に開会した議会に提案した。

 大イチョウは国内最大級で、樹齢は千年といわれる。通りから細い道を入った所にあり、30メートル付近の枝の管理をするための大型高所作業車が入れなかった。また、隣の民家の下にも根を張り、生育環境の確保や管理が難しい状況だった。

 一方、民家は国の重要伝統的建造物群保存(伝建)地区にあり、文化財の指定を受けている。一帯が焦土となった1828年の文政の大火以前の建物という。

 大イチョウは強風時に枝が折れて落下するケースがあった。近年では2016年5月、民家の屋根に穴を開け、18年7月の台風でも屋根瓦を破損させていた。

 今回の措置は大イチョウの保全が目的。「大型高所作業車が進入できるようにするには、民家がある場所を確保するしかない」(町文化財課)として、約200平方メートルを町が購入し管理地にする。民家は文化財保護法により解体ができないため、所有者が敷地内に曳家ひき・やをして移動させる予定。

 事業費は土地購入費や家屋移転補償金など8213万円で、うち5200万円は国の補助金を活用する。予算案が可決され、順調に手続きが進めば、年度内に曳家を終える予定。民家に住む男性は「落ちた枝で通行人がけがをしないか心配していた。うちもこれで安心して暮らせる」と話している。

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