「郷土の伝統芸能を知ってほしい」と意気込む佐藤光さん=伊万里市の伊万里実業高農林キャンパス

 「ドンッ」「ドンッ」と大太鼓の重低音が稽古場に響き渡る。真剣な表情でバチを握るのは、さが総文の郷土芸能部門に出場する伊万里農林高太鼓部「至誠龍神」部長の佐藤光さん(17)=伊万里市。「多くの人に見てもらいたい。郷土の伝統芸能の魅力を知ってほしい」と意気込む。

 部員17人が大切にしているのは「あいさつ」「返事」と「忘れ物をしない」こと。稽古場ではハキハキと受け答えし、きびきびとした動きを見せる。外部講師の岩永憲昌さん=有田町=の指導を受け、週3回の練習を重ねている。

 佐藤さんが太鼓に出合ったのは中学3年の時。高校の体験入学で太鼓部の演舞が披露され、目の前で打ち鳴らされる太鼓の迫力と演出に心を奪われた。小学生のころから野球を続けてきたが「高校では太鼓をやろう」と心に決めた。

 ただ、入部して最初に手渡されたのは「しの笛」。1年生はしの笛の演奏テストに合格しないと、太鼓や鉦、竹楽器には進めない。すぐに太鼓をたたけると期待していただけに戸惑ったが、気持ちに火が付いた。早朝に自主練習するなど部活以外でも努力を続け、3カ月で太鼓に向かえるようになった。

 太鼓の魅力は迫力だけではない。「太鼓を打ち鳴らすやりとりや演出を見てほしい」と話す。佐藤さんたちは目線をそろえ、曲によって笑顔を見せたり、真剣な表情を浮かべるなど細かいところまで気を配っている。

 演奏や演舞の様子はビデオ撮影して反復練習。ずっしりと重い大太鼓のバチを持ち、腕を振り上げるには力も必要だが、「腰を落とした姿勢で、太鼓の面の中心を打つことを意識している」。太鼓の音が重なることで自分たちの気持ちも一気に高まっていくという。

 さが総文では、伝統的な浮立の流れをくみ、千手観音をほうふつとさせる演出を盛り込んだ創作曲「飛龍」を披露する。地域で受け継がれている伝統芸能の魅力を伝える。(松田美紀)

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