有田陶磁美術館一階の展示風景

 前回、国指定重要文化財旧田代家西洋館の特別展「よみがえるレトロモダン」についてご紹介した。実は、この特別展と連動して近接する有田陶磁美術館の常設展も一新。両館が一体化し、進取の精神にあふれた近代の有田の姿をよみがえらせる構成となっている。

 西洋館は、外国人の接待や宿泊のため、明治9(1876)年に陶磁器貿易商の田代助作が建築した建物である。田代家に残された古文書には、建築に際し、助作の父紋左衛門が「西洋館のような奇抜な建物は、平林(伊平)の石倉といっしょで、はなはだ悪い評判が聞こえている」と戒めている。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている重厚な日本家屋が建ち並ぶ町並みに、全面石造りの倉庫や緑の柱の西洋館などは、相当に珍奇に映ったに違いない。

 実は、この酷評された「平林の石倉」こそ、現在の有田陶磁美術館で、西洋館より2年早く明治7年の建築である。改装後、昭和29(1954)年に佐賀県の第1号の登録博物館として開館しており、当時は世界に三つしかなかった陶磁器専門の美術館の一つである。

 今回のリニューアルでは、倉庫として建築された明治から、美術館として開館した昭和前期ごろまでの名工・名窯の作品を主体に、全体を構成している。同じ時代を共有してきた建物と作品の数々を、ご堪能いただければと思う。(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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