「働け」「節約しろ」「投資しろ」―。金融庁が老後を暮らすための蓄えにあたる「資産寿命」をどう延ばすかまとめた指針案をテレビのコメンテーターが三つの言葉で表していた。「投資しろ」というのは株の運用などを指す◆年金だけが収入の高齢世帯では月の家計で約5万円の赤字になるという。この不足分を埋めるための自助努力を呼び掛けているのだ。企業には70歳まで働き続けられるよう求めるそうだが、年金受給年齢がさらに引き上げられるのではと不安は募る◆もうひとつ課題がある。それは高齢化した親の年金などに支えられた子の問題である。川崎市の無差別殺傷事件で容疑者の男が「引きこもり傾向」だったと報じられたが、男は長い間、家族の収入によって生活していたようだ◆うまく社会に入り込めず引きこもりになった人だけでなく、たった一度の就職活動のつまずきで仕事が見つからない人もいよう。晩婚化が進み、子どもが大学を卒業するまでの教育費や家のローンが65歳を過ぎても残る世帯は確実に増えていく◆引きこもりの子と高齢の親が困窮するケースは親が80代、子50代の意味から「8050」問題という。だが、それに限らず、高齢化に伴う困窮家庭の問題は今後、顕在化しそうだ。資産を増やす指図もいいが、社会の根本を問い直す議論を進めたい。(丸)

このエントリーをはてなブックマークに追加