就職氷河期のイメージと大卒求人倍率

 正社員を目指して就職活動中の千葉市の男性=24日、東京都豊島区

 政府が就職氷河期世代の支援策に本腰を入れ始めた。多くの企業が人手不足から新卒採用に苦戦する「売り手市場」を正社員化の好機と捉えた側面がある。長期にわたり非正規労働に従事した人や年齢が高い人の正社員採用を敬遠する企業の慣行の見直しも課題だ。ただ、当事者からは「対策を打つのが遅すぎた」と批判の声も上がる。

▽焦り

 「正社員の実績がないと、安定した企業に入りにくい」。家庭の事情で大学を中退して2004年に社会に出た千葉市の男性(36)は焦りを隠せない様子でこう述べた。牛丼チェーンや空港警備、コンビニなど数々の職場を渡り歩いてきた。ほとんどが非正規雇用で現在は正社員を目指して就職活動中だ。「非正規が長いと面接の段階で軽く見られているのを感じる」と嘆く。政府の支援策は歓迎するものの「企業は経験不足の部分があっても門前払いしないでほしい」と注文を付ける。

 大阪市のシステムエンジニアの男性(42)は00年に国立大を卒業後、教員を目指した。当時は正規採用への道は険しく、無職期間を経て現在はシステム会社で正社員として働いている。「中途入社ということで上司の受けやポジション争いでハンディを感じる。氷河期でなければ違う道があったのかもと思うことがある」とつぶやく。政府支援策は「遅すぎる」と感じた。「40歳前後では能力を伸ばすのに限界がある」と効果を疑問視した。

▽不本意

 リクルートワークス研究所によると、就職希望者1人当たりの求人件数を示す「大卒求人倍率」は91年卒で2・86倍とピークを迎えた後に急低下し、00年卒は1倍を割り込んだ。厚生労働省の推計では35~44歳で不本意ながら非正規雇用の人は約50万人に達する。

 政府が支援を本格化させたのは、最近は雇用の売り手市場が続いているため「今が氷河期世代の正社員化に道筋をつける絶好の機会」(厚労省幹部)との思惑がある。08年のリーマン・ショックで一時落ち込んだ求人倍率も、ここ数年は高止まり傾向で20年卒は1・83倍となっている。

▽自信回復

 若者の就労支援に携わってきた佐賀県のNPO法人「スチューデント・サポート・フェイス」代表理事の谷口仁史さんは「当事者や親は、安定した仕事に就けないのは自分の責任と思っている。自己責任で問えない部分があることを社会全体で共有することが大切」と指摘する。当事者が自信を回復するための支援も重要だと強調した。【共同】

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