身体障害者向けの改造車両を操作してみせる江下真也さん。「この取り組みをモデルケースにできれば」と意気込む=佐賀市北川副町のオートガレージ江下

身体障害者向けの改造車両の内装。左下にあるレバーを使ってアクセルとブレーキを操作、ハンドルには片手で回せるようグリップが備わる=佐賀市北川副町のオートガレージ江下

 障害者の自立支援に取り組むNPO法人「ドリーム・ロード」(佐賀市、船津正弘理事長)は、身体障害者向けに補助装置を取り付けた教習車を作り、貸し出す取り組みを始める。県内では補助装置がある自動車学校は2カ所だけで、障害者が改造費用を負担して教習車を持ち込むしかないのが現状だ。経済的負担のため断念する人も多い中、障害があっても免許を取得できる社会に向けて一歩踏み出す。

 

 NPOメンバーで、障害の特性に合わせた福祉車両の改造・販売店「オートガレージ江下」(佐賀市北川副町)を営む江下真也さん(45)のもとに昨年4月に相談があった。「県内で免許を取るためにはどうすれば良いか―」。これまでは事故による後遺症などで、運転に支障が出た免許保有者向けに自家用車の改造をしてきた。調べると、県内では身体障害者の免許取得のハードルが高く、がくぜんとしたという。

 教習車には専用のナンバープレートや補助ミラー、助手席の補助ブレーキの設置が必要で、それだけでも約30~40万円ほどかかる。江下さんは「金銭面で教習車改造や免許取得を諦める人も多い。教習車があれば健常者と同じスタートラインに立てる」と話す。

 県内の自動車学校では車の維持費負担と利用者が年1人前後という状況から、身体障害者向けの教習車を廃止したところもあった。一方で、片手で操作ができるグリップ付きのハンドルを導入している自動車学校があるほか、虹ノ松原自動車学校(唐津市)では4月、ハンドコントロールという手動でアクセルとブレーキを操作できる着脱可能な補助装置を購入。車いす利用者から「免許を取りたい」と相談があり、導入を決めたという。

 今回、NPOでは、グリップ付きハンドル、低身長の人向けのペダル延長、足が動かない人のための手動のアクセル、ブレーキ操作装置を備えつけた教習車を作る。機材や工賃など約220万円かかり、県地域福祉振興基金からの助成金でまかなう。教習車は6月中旬に完成する予定で、県内に住む男性への貸し出しが決まっている。利用料は入校から約1カ月間で1台10万円(税別)。個人に貸し出し、通学を希望する自動車学校に持ち込むという。

 県運転免許センターによると「手動でのブレーキ操作に限る」と条件付きの運転免許を持つ人は、県内で1161人(3月末現在)。今後はさらなる需要を見込み、手動アクセル・ブレーキ、グリップ付きハンドル、ペダル延長などそれぞれの補助装置を取り付けた専用車を1台ずつ用意していくという。江下さんは「全国的にも地方では、障害に合わせた車両がなく、似た状況が多いと思う。この取り組みがモデルケースになっていけば」と広がりを期待する。

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