滑り台がある西中野橋公園。市民からは公園の遊具が減っているとの声も聞かれる=佐賀市兵庫北

 「近くに小さな公園がいくつかあるが、遊具がない」。佐賀市内の60代男性から佐賀新聞に投稿が寄せられた。背景には施設老朽化による撤去や少子化による利用者減などが考えられるが、実情はどうなのか。佐賀市内の現状を調べてみた。

 「ベビーブーム」世代という60代男性は、空き地や道路で野球、相撲、かけっこ、ビー玉、かくれんぼなどを楽しんだことを紹介しながら、「今の子供たちは家の中でゲームをすることが多いとは思うが、本当は外でいっぱい遊びたいはず」と指摘。「増えつつある空き地などを利用してほしい」「年齢別の遊具を充実させてはどうか」などと訴える。

 市緑化推進課によると、住宅地にある小さな公園は、都市計画法に基づく緑地として開発業者らが設ける「開発公園」が多いと説明する。市内には約400カ所あり、経費を抑えるために遊具を置かないケースが近年増えたという。住宅1戸分の土地に最低限の樹木を植えた「空き地」がよくみられる。

 一方で、行政の補助金で整備される公園は、所管官庁の違いから「都市公園」「児童公園」「農村公園」などと呼ばれる。国交省所管で県や市などが管理する「都市公園」は市内に72カ所ある。2013年に都市公園に認可された西中野橋公園、西中野天満宮公園(いずれも兵庫北)には、あずまやとベンチのみ。近くにある西中野西公園は約5700平方メートルの広さで、駐車場があるものの遊具は小さな滑り台が一つだけとなっている。

 佐賀市では、14年にこれまでの公園、施設を長寿命化させる計画を策定。10年かけ、優先度の高い老朽設備などから改修していく方針だ。市内の72カ所のうち56カ所にある古い滑り台やジャングルジム、ブランコなどを撤去し、代わりに複数の機能を備えた複合遊具を設置。こうした遊具への更新で、結果的に設置数が減っている側面も見えてくる。

 主に設置していくのは6~12歳向けの遊具。幅広い年齢層が遊べるのが理由で「元々、遊具が多かった公園に例外的に幼児用(3~6歳)を設置している。年齢別に複数設置する予定は今のところない」と担当者。遊具がなかった都市公園への新設も考えていないという。一方で「少子化で予算を減らしたようなこともない」と強調する。

 子どもたちが自由に遊べる場をつくる市民活動団体「佐賀冒険遊び場の会」の柴田知行代表は、管理する行政への注文が増えたことが遊具減少の背景にあるとみる。「『子どもがけがをした』『危なくないよう注意して』『遊び声がうるさい』などと苦情を寄せる人が全国で増えており、これでは遊具を設置しない方がいいとなってしまう」。

 また、外遊びをしなくなった子どもが増えていることについては、遊具の多寡より、置かれた状況の変化が大きいと指摘する。「学習塾や習い事に忙しい子どもばかりで、『放課後にみんなで集まって遊ぼう』というケースが減った。余裕が無くなっている点は気になる」と懸念を示した。

 

子どもの視点で議論を

 幼少期に家の近くにあった空き地でよく遊んだ。兄と同級の「ガキ大将」が中心になり、その日に遊ぶメニューを考えた。野球、かくれんぼ、鬼ごっこ…。未就学児には特別ルールを設け、みんなが楽しめるよう工夫していた。知らない子が来ても、快く受け入れて一緒に遊んでいた。

 こうした「先輩」の姿を見ながら、コミュニケーションの取り方、人間関係を自然に学んでいったように思う。大人から教えられるのではなく、子ども自らが社会性を身につけて成長する。空き地が減り、こうした遊び方をする子どもが減っていることも気になる。

 私自身、3人の子どもがいるが、彼らが小さい時には休日に公園巡りをしていた。面白いのは遊具が充実した遠くの公園より、滑り台と平均台しかない近場の方が楽しく思い出に残っていたということ。

 大人には見えないが、子どもなりに楽しむための要素がありそうだ。当事者である子どもの意見、視点を取り入れ、公園や遊具の在り方を議論したい。(佐賀市政担当)

 

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