佐賀空港の滑走路上空で試験飛行をする在沖縄米軍のオスプレイ。奥はノリ養殖の網を張った支柱が林立している有明海=2016年11月8日、佐賀市川副町

 佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画に関し、佐賀県の山口祥義知事は24日、県有明海漁協を訪れ、漁協との間で結んでいる空港の自衛隊利用を否定した協定の見直しに向けた協議を始める。昨年8月に計画受け入れの判断に至った経緯や理由を説明する。今後の行方を左右する協定について、締結の経緯や関係者の認識を振り返る。

 焦点になっているのは、1990年3月、空港建設に際し、県が地元漁協や川副町(現・佐賀市)と締結した「公害防止協定」。空港建設が持ち上がった70年代、有明海では水銀騒動や筑後大堰(おおせぎ)、南部総合開発(現在の諫早湾干拓事業)など漁場環境を揺るがす問題が相次ぎ、漁業者の間には公共事業や行政への不信が高まっていた。協定には排水などの細かい環境基準が盛り込まれた。

 環境問題に加えて漁業者が懸念したのが、自衛隊との共用だった。赤字になれば自衛隊に身売りして基地化するのではないか-。当時の県担当者が残した資料にも「漁業者が最も心配している自衛隊基地化」と記されている。

 協定の中に、県と漁業者の質疑応答をまとめた覚書付属資料がある。そこには「県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない」という一文がある。ただ、続けてこうも記されている。「また、このことは協定第3条の『空港の運営変更』にもなることであり、当然に『事前協議』の対象となる」

 山口知事は要請受け入れ後の県議会で、協定について答弁している。「当時の県の考えがそうだったのは事実」としつつ、「要請は国の根幹である国防に関わること。県民の安全・安心の重要な課題として3年半にわたり検討を重ねてきた上で要請を受け入れ、協定の覚書付属資料の変更について漁協と協議させていただく判断に至った」

 一方、地権者を多く抱える漁協南川副支所の田中浩人運営委員長は「協定はしっかり守るべきだし、守ってほしい」と話す。旧川副町から協定を引き継ぐ佐賀市の秀島敏行市長は「片方が修正したくない、ということなら協定は生き続ける」と、協定の見直しには双方の同意が必要との認識を示している。

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