諫早干拓問題の経過

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門を巡る訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)が指定した国と漁業者双方の意見を聞く弁論では、開門を命じた確定判決の効力が争点になることが23日、関係者への取材で分かった。開門を求める漁業者側は、確定判決の効力に関して二審の福岡高裁判決の法令解釈に誤りがあると主張していた。弁論は7月26日に開かれる。

 最高裁は、開門命令の確定判決を事実上無効化した福岡高裁判決の中に法令の解釈に関する「重要な事項」を含むことを認め、上告を受理して弁論期日も指定した。最高裁の弁論は判決を見直す場合に必要な手続きで、福岡高裁判決に疑義があるとして見直される可能性が出てきている。

 漁業者が開門を訴えた訴訟で福岡高裁は2010年12月、3年以内に5年間の開門を命じる判決を言い渡し、国が上告せずに確定した。一方、確定判決に従わない国が漁業者側に開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟では福岡高裁が昨年7月、漁業者の共同漁業権が13年8月の期限満了で消滅し、その漁業権に基づく開門請求権も消滅したとして国側の請求を認めた。

 しかし、確定判決は13年12月までに開門するよう命じており、それに従えば13年8月までに漁業権が消滅した後も開門請求権が続いていることになり、13年8月より後は消滅したとする福岡高裁判決の判断とは異なる。漁業者側は昨年10月に最高裁に提出した上告受理申し立て理由書の中でこの矛盾点を示し、「確定判決は、漁業権の期間前後を問わず、開門請求権が法的には同一という判断を含む。(高裁判決は)民事訴訟法の解釈、適用を誤っている」としていた。

 最高裁は、漁業者側のこの他の上告に関する理由は全て退けている。他に係属している開門訴訟など2件の裁判について今回は判断を示さなかった。

 最高裁が弁論を設定したことについて佐賀県の山口祥義知事は23日、佐賀新聞社の取材に「(今後の展開は)分からない。まずは注視していく」と述べた。福岡高裁判決に関しては改めて疑問を呈し「漁業権の期限が切れたからというのは全く現場が分かっていない。漁業者はそれをずっとつないでいるのが誇りなのに」と話した。

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