夏の参院選に向け、野党の準備が進み始めた。

 財務省における公文書改ざんなど弊害が目立つ「安倍1強」を6年半近くも許してきたのは野党の「多弱」だった。

 勝敗を左右する32の改選1人区の候補者調整を加速、具体的な協力体制を構築するとともに、想定される衆参同日選に備え、衆院小選挙区についても早急に協議を始めなければならない。

 野党5党派は21日の幹事長・書記局長会談で、参院1人区のうち山形、福島、栃木、群馬、新潟、福井、三重、和歌山の8選挙区で候補者を一本化することで正式合意した。栃木と群馬は立憲民主党、福井は共産党、残る5県は無所属の候補に統一される。

 これまで野党は愛媛、熊本、沖縄の一本化を決定しており、計11選挙区で正式に統一候補が決まったことになる。他に17選挙区で大筋合意しており、残る4選挙区も富山と佐賀は国民民主党、鹿児島は社民党、宮崎は無所属候補を軸に最終調整中だ。

 立民の福山哲郎幹事長は参院1人区について「今月中に一本化を実現したい」と述べており、近く党首会談を開き、大半を決める構えだ。

 有力とされる参院選の日程は「7月4日公示―21日投開票」。6年前、大勝した与党側の候補者はすでに地元活動を活発化させている。野党の動きは遅すぎる感も否めないが、野党第1党の立民と第2党の国民が連携の在り方を巡り対立、準備が遅々として進まなかった状況が克服されつつあることは歓迎すべきだ。

 野党の背中を押したのは皮肉にも自民党幹部だった。安倍晋三首相の側近とされる萩生田光一幹事長代行が4月18日、インターネットテレビ番組で、10月に予定される消費税率10%への引き上げに関し、6月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)が示す景況感次第で延期もあり得るとの考えを表明。増税が先送りされた場合は「国民に信を問うことになる」と述べ、衆院解散の可能性に言及した。

 この発言を踏まえ、立民の枝野幸男代表が、4月23日以降、国民の玉木雄一郎代表はじめ各党派代表に対して、参院1人区に加え、衆院小選挙区の候補者一本化に向けた協議に入ることを提案した。

 衆院選対応を前面に出すことで難航していた参院1人区の候補者調整を動かす狙いで、この後、協議が水面下で動きだした。

 しかし、候補者の絞り込みや選挙運動での協力だけでは選挙目当ての野合といわざるを得ない。

 萩生田氏の発言に代表されるように3回目の延期論が浮上している消費税増税や、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の柱である日銀による大規模金融緩和、アナウンスなき方針変更とみられる北朝鮮の日本人拉致問題への取り組み、ロシアとの北方領土を巡る交渉など、内外の重要課題に対する考えを統一すべきだ。

 そうでなければ長い多弱状態によって失った有権者の信頼を回復することは難しいだろう。

 来月19日に開催される見通しの党首討論で、安倍首相に対して論戦を挑むだけでなく、野党側から衆院解散を求めることができるぐらいの態勢を構築すべきだ。

 これまでのような野党の自滅だけは繰り返してはならない。

(共同通信・柿崎明二)

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