「強い相手に勝ってこそうれしい」と話す牟田有之介さん=佐賀市の龍谷高

 「出るからには優勝したい」。さが総文の目標を聞かれた龍谷高2年の牟田有之介さん(16)=佐賀市=は、ためらいなくそう応じた。小学校高学年の全国大会に部門最年少の4年生で挑み、3位に輝いた実績を誇る牟田さんにとって、それは手の届かない夢ではない。

 将棋を始めたのは5歳のとき。父の勧めだったが、1カ月後には父に勝てるようになったというから驚きだ。小学生になった頃から大会に出場するようになり、数々の入賞を重ねた。それでも中学校に上がる頃、一度は将棋から離れる決心をしたという。

 プロ棋士を目指し、養成学校を受験したが不合格。プロを諦めるとともに、全国の舞台で将棋を指すことから遠のいた。しかし、高校生になって「なぜか、将棋が恋しくなった」。再び勝負の世界に戻ってきた。

 1年の時に県大会で優勝し、勝ち進んだ信州総文祭はベスト32。久々の全国大会は想像以上に同世代のレベルが高く驚かされた。ただ、その一方で確かな手応えも感じた。

 プロを目指していた頃、将棋は「嫌でも頑張るべきもの」だった。常に自分を追い込み、「視野が狭くなっていた」と振り返る。プロという夢を手放した今、のびのびとリラックスして将棋を楽しめるようになり、「これまで見えなかった手も見えるようになった」と語る。

 今年の県大会も順調に勝ち上がって優勝。4月に開かれたアマチュア竜王戦県大会は、大人に交じって頂点まで駆け上がった。

 地元開催となるさが総文では、昨年のような長距離移動もなく、実力を発揮する環境は整っている。「強い相手に勝ってこそうれしい」と牟田さん。

 全国の猛者が集結するさが総文を前に「楽しみですね」と少しだけ笑って見せた。

 

 【メモ】将棋部門は7月30、31の両日、江北町のふれあい交流センターネイブルで開かれる。都道府県予選を勝ち抜いた約460人が、個人戦、3人1組の団体戦で競う。

 一般観覧者も参加できる指導対局は、プロ棋士5人が一度に複数人と対局する「多面指し」で実施し、プロの妙技を体験できる。決勝は、プロ棋士が対局の様子を大盤解説する。

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