佐賀平野に広がる農地。今後はいかに集約できるかが鍵になる=佐賀市東与賀町(昨年9月、ドローンで空撮)

出席者

 

■永渕和浩氏(佐賀県農業大学校校長・前県農産課課長)

■西岡忍氏(JAさが営農部次長)

■杉原浩樹氏(JA佐賀中央会参事・前農政組織部部長)

 

 担い手の減少と高齢化が進む中、農地の受け皿となるべく集落営農組織を法人化する必要性が改めて叫ばれている。座談会詳報の2回目は、法人化の現状や農地集約の課題で意見を交わした内容を伝える。(古川浩司)

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 杉原浩樹・前JA佐賀中央会農政組織部部長 まだまだ集落営農を法人化することへの農家の抵抗感はあるようだ。

 西岡忍・JAさが営農部次長 イメージが漠然としていて、今のところまだ法人化にメリットを見いだせていないからだろう。

 永渕和浩・前県農産課課長 ここ数年で126の組織が任意の集落営農組織から法人組織へ移行し、84の組織で法人化の協議が進展している。ただ実態を見ると、法人化しても今までの集落営農のやり方とほとんど変わらず、次の段階に進めていないところもある。「自分の田んぼの方が収量が多い」という思いはあるだろうが、やはりプール計算方式に変えて経営効率を上げることが大事だ。

 杉原 集落営農によって農地の集積はできてきた。今後は集積から集約にかじを切らないといけない。法人化して利用権設定ができたなら、大規模農家と交換して3枚、4枚続きのまとまった農地に集約して効率化を進める。米、麦、大豆のコスト低減策は当面それしかない。嬉野市の「アグリ三新」は米、麦、大豆に加えて露地野菜も作り、農地のあぜを取っ払って集約化している。現時点で理想形の一つと言えるだろう。

 永渕 無人トラクターやドローンの導入が進むが、例えば3反(約30アール)の田んぼを無人トラクターで耕し、その後別の田んぼに行くために道路を5キロ有人走行するのではまったく意味がない。農地が分散していたら機械も最大限に活用できない。佐賀の平たん部は水田フル活用がうまくできている。あとは農地の集約を徹底してやるしかない。

 杉原 農地を集約し、法人の中で10町(10ヘクタール)程度を「支店管理」にする。競争しながらも、一つの法人としてリスクは全体でカバーする形に進めるのがいいのではないか。米、麦、大豆の何かが失敗してもカバーできるものがあるのは佐賀の強み。複合的にみんなでやり続けられれば持続可能な社会、地域になる。

 西岡 農業は世襲というか、子々孫々の流れが基本的にある。農地の集約を進める中で「先祖代々」という考え方を断ち切らないとできない場面があるし、そこが引っかかりとして必ず出てくるだろう。一方で、個人経営の大規模農家も相当な確率で次の代がおらず、自分ができなくなった後を心配している人も多い。

 永渕 個人色が強い法人になると、農地の交換、分合がなかなかできない。だから法人化したところはどんどん雇用方式にし、大規模農家も含めて全体で農地を集約化しないといけない。その一つの事例として(県は本年度から)江北町をモデルに取り組む。仕組みがうまくできれば大規模農家が省力化でき、余剰労力が生まれて野菜も作れる。そうすれば(園芸産出額の大幅増を目指す)888運動にもつながってくる。

(初回は11日付で紹介。次回は25日付に掲載します)

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