議長選挙などが最終日に実施された臨時佐賀県議会=県議会棟

 佐賀県議会(定数38)は改選後初となる臨時議会で新しい正副議長を選出、委員会構成が決まった。4月の選挙では13選挙区のうち7選挙区が無投票で当選が決まり、残り6選挙区の平均投票率は過去最低の46・12%という実態を見ると、議会と県民との距離を縮める工夫が必要だ。市町議会を含め議員のなり手不足は深刻であり、政治不信も無関心を助長している。議会改革に積極的に取り組んで「見える化」を進めるとともに、発信力を高めてほしい。

 38人のうち新人は7人が占める。臨時議会初日、バッジを付けた新人議員は取材に、「県民の声を県政につなぐ」「多くの声を聞き、県議会を分かりやすく伝えていく」「『見える議会』に改革したい」と議員活動への意欲を語った。それぞれの言葉は、現状の裏返しでもある。県民にとって分かりにくい、何をしているか見えにくい、県政に声が届いていない、といった課題が見える。

 新議長に決まった自民党の桃崎峰人氏も記者団に「県民が県政の課題に関心を持ち、特に若者が地方政治に参画してもらえるよう発信していく議会にしていきたい」と抱負を述べている。

 昨今、議会不信の要因になっているのが、全国的な政務活動費の不正支出問題である。その政務活動費について、全国市民オンブズマン連絡会議は昨年9月、議会の政務活動費に関する情報公開度ランキングを発表し、佐賀県議会は都道府県議会の中で最下位という不名誉な位置だった。

 過去の問題を受け、少しずつではあるが改善はされてきている。それでも十分とは言えない。ネットで閲覧できるのは会派別の収支報告書だけで、各議員が提出した領収書は議会事務局に行って初めて見ることができる。現在、会派を通じ議員1人当たり月額30万円が支給され、残金は返還する仕組み。他県の一部の議会では、使った分の請求を受けて支給する後払い方式に変更している。透明性を高めることで県民の信頼も増す。先進例を参考に、実現に向けた議論に踏み込むべきだ。

 県民との距離の遠さは、議論の分かりづらさにもある。一般質問は、質問をすべて行ってから、知事らがまとめて答弁する。多数の質問項目となれば、どの質問に対する答えか結び付けにくい。佐賀市議会ではすでに質問ごとに答える「一問一答」方式を始めている。県議会ですぐに取り組むかどうかは、議員の意識次第ではないのか。

 県政は九州新幹線長崎ルートや佐賀空港への自衛隊輸送機オスプレイ配備計画、玄海原発といった国策課題を抱える。議会にも新しい風が吹き込まれた今、改革を通じて、政治に県民を引き寄せる努力を促したい。(辻村圭介)

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